第72話 おとにきく たかしのはまの

音に聞く 高師の浜の あだ波は

かけじや袖の 濡れもこそすれ


おとにきく たかしのはまの あだなみは

かけじやそでの ぬれもこそすれ


祐子内親王家紀伊


訳)

噂に聞く高師の浜の波がかからないようにしましょうね。

袖が濡れたら大変ですもの。

(浮気者と噂されるあなたの言葉など心に留めないでおきましょうね。

涙で袖を濡らす事になりそうですもの)


超訳)

そうやって誰にでも声かけてるんでしょ。

その手にはのらないわよ


ちょっと一言)

この歌の作者、紀伊ちゃん。この歌を詠んだ時70歳。・・え?この時代の人って長生きなのね。


この歌は『艶書合』で詠まれた物です。

艶書合とは歌合(二組に分かれて歌を詠み競い合う物)の中でも男女が互いに恋文を詠み合い競う物。

対戦相手は藤原俊忠。29歳のプレイボーイ対70歳の円熟美熟女の対決なのだ。


「人知れぬ 思ひありその 浦風に

波の夜こそ 言はまほしけれ」

(人知れぬあなたへの想いが荒波の様に押し寄せる。こんな夜こそあなた会って思いを伝えたい)


これに返したのがこの歌。


激しく熱い愛の告白をサラリとかわすオトナの女性。この勝負紀伊ちゃんの勝ち~♪

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