93.窯
「──ここは通行止めです。ちなみにUターンも認めません」
牢獄の最端にて、戦女神が静かに佇んでいた。
「…………まあ、そう、甘くはないよね」
「ご心配なく。私はただのお目付け役だと言ったでしょう? ここに立っているだけですので、関知しなくて結構。あなた達の相手は──変わらず彼ですよ」
「はいよ、【
【
先回りしていた【
【
「じゃあ、手駒召喚だ。他力本願は大目に見てくれ。こちとれ
その言葉とともに現れたのは──
「…………ッ! あんたッ…………!」
「だから、大目に見てくれって言ったろうが。まだそっちが数的には有利だ。気にすることはないだろ」
そして
三名の【
「完全ではないとはいえ…………
「へぇどーも。ったく、もっとわかりやすく強い能力の方が良かったがなぁー。こんな能力だとなんか俺が酷くて悪い奴みたいに見えるだろ」
軽口を叩く【
静かに、そして冷淡に、目前の生命を睨みつけていた。
「私と、しては」
「迷わず、
「
「いや、迷いながら相手して、どうにかなるような、雑魚じゃないし。罷り間違ったら、私達も、あちらさんの、仲間入りだよ?」
「…………でも!」
「三人とも、もう【
「っ…………!」
唇を噛み締める
「
「…………うん。わかってるよ」
「てゆーか
「…………うん、あんたはまあそういうこと言うよね」
嘆息しつつ──
「うん、ヨシ。じゃ、みんな──正念場だよ、全霊でいこう」
□■□■□■□■□■□■□■□■□■
■□■□■□■□■□■□■□■□■□
「さぁてさて──宴もたけなわ、ってところかしら」
牢獄の外。
しかしそこから総てを見透かしながらに、
「【
微笑みを浮かべて、謳うように、祈るように思いを馳せるのは──女王の悲願、それを宿せし白き少年。
「特異点にして分岐点は、今まさにこの地点──一体
●●●●●●●●●●●●●●●●●●
●●●●●●●●●●●●●●●●●●
「うふ──うふふふふふふふ」
爆音を轟かせていながら、それでも【
「
もはやその攻撃速度は三人の──
怪物じみた自動二輪車を疾駆してのその連撃を、【
「【
そして、崩壊の風をものともせずに終末の車輪は三人を蹂躙する。
「く、っそ! もう【
「勝手に決めるな、
連撃の最中、【
「お、おおおおああぁぁぁぁ!」
目にも止まらぬその連撃を、もはや勘任せに【
が、百余年もの間
「カ──はぁぁぁぁ。ハッ、連撃数は増えたが一発一発の重みは大して増しとらんな」
「いや、だからってあんなの防げる?化け物でしょ…………どっちも」
「お前の壊風である程度は向こうも削られとった。なら凌げんかったらアホじゃろが」
「さっき【
「しなきゃアッという間に全滅じゃわい」
「それに関しては全くの同感だけど…………それでも守勢に回ってなんとか凌げるってとこまででしょ。攻め手が足りなさすぎるわ」
「うふふ、うふふふ、うふふふふふふふふ」
その笑みは二人の敵対者が自らの連撃を凌ぎ切ったことに対する感心か。
なんにせよ、もはや三人より明確に上の次元に達してしまった【
容赦なく間断なく攻撃を浴びせ続ければ、直にその守勢も破綻する。手も足も、出ない。
「…………で、そろそろ起きてくれる? 【
「同感じゃな。さっきから蹲ってたが、まさかベソかいてたワケじゃあるまい」
「…………うる、せえよ。あぁクッソ頭痛え」
片手で頭を抑えながらに、【
彼の【
代わりに、彼自身の純白の
「…………おっさん。【
「食らった箇所をワシ自身の【
「そりゃ幸いだな…………だが、こっちは俄仕込のままじゃ、いられない」
そう、彼もまた察していた。自らの中に芽吹きつつある力。
先日の時を司る死神との一戦。その果てに、自らの
「うふ」
それを見て、愉しげに笑う終末の駆り手。
「暢気に笑いやがってよ──だがな、その笑い方、柄じゃないぜ。さっきからずっと背筋が寒くなって仕方ない。すぐに笑ってられなくしてやる」
静かにその鎌を振りかぶる
「初撃──俺が一振りするだけでいい。凌いでくれ」
「いやカッコよく見栄切ってそれ?」
「一人でやるんと違うんか」
「うるさい! 初撃分だけどうにかしてくれってだけだろ」
「今の【
「二十発で済めばええがな……」
「それがわかってるからどうにかしてくれって言ってんだよ!」
「ふーん。なら態度ってもんがあるんじゃないかしら、偉そうに」
「ここまで碌に働いとらんでその上から目線はなんじゃ」
「う、ぐ…………頼む」
「「頼む?」」
「………………お願い、シマス」
その言葉を受けて、二人も静かに笑い、再び迎撃の姿勢をとった。
「さあ──勝負だ、ミヤコ」
「うふ」
その言葉で口火を切り、【
「──
その一輪一輪が、もはや蒼白き閃光のようにしか映らない。
それでも二人の死神は残る全力を以ってして迎え撃つ。
「──【
「おおらああああぁぁぁぁ!」
最大規模の壊風と、渾身の連撃。
それら全てをぶつけてもなお心許ない、終末の連撃。
「うふふふふふふふふふふふふふふふふ!!」
波濤に呑まれる木の葉のように、二人は容赦なく蹂躙され──
「そこまでだ」
──白き死神の一刈りが、今振るわれた。
「
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます