78.脆
(さて、と。一先ず、相手の手札を、おさらいしておこう、かな)
(相手の【
「【
「させないよ、【
投擲された短槍型
「あぁこんちくしょう、【
「そりゃ、何発も食らえる攻撃じゃないからね。発生を潰せるならそうするよ」
そう
(【
「ったく、息つく暇くらい、与えてくれって──のお!」
【
瞬間、上空から見えない圧力の塊が降り注ぎ、【
湘南の街並みが軋み、唸り、歪み、ひしゃげて崩れ臥す。
響く轟音、舞い立つ砂煙。
そこに──
「──凌ぐだけなら、
砂塵の中を悠々と、傷一つないままに
それを見て【
「闘えば闘う程こっちの伏せ札が見抜かれてくなぁ、うんざりする」
「闘いって、そういうものだと思うけど」
「正論言われたって聞く耳持てるシチュじゃねえっての」
常に冷淡無表情を保ち続けてきた
「ずーっと、グチグチ言ってばっかだね、君。ちょっとはやる気出したら? 足を止めて本腰入れれば、広範囲かつ長時間、圧力か続けることも出来るでしょうに。【
「もちろんわかっていますとも。足を止めて全力で【
「違わないね。そうなるね」
「そらみろ、逃げるのを止めるわけにゃいかねーじゃねえか」
あくまで足を止めずに間合いをとり続ける【
(はっきり言って、今、私側に、あの空気爆弾──【
自身の置かれている状況を整理し、改めて短期決戦への道筋を模索する
対する【
(このままいたずらに【
自らの切り札を使う事を決意する【
(無策で勝負に出たところで、呆気なく真っ二つにされるのが関の山だろう──あれを使うには相応の隙が出来る。リスクの犯しどころを見極めねーと…………)
「…………【
──ここまでの闘いで、【
が、ひたすら乱雑に放ち続けているというわけでもない。
【
【
【
片方の【
だが、これで決着はつかないことは最早互いに承知の上。
【
【
「ん──屋内へ? それだと、【
そう言って即座に後を追い、ビルの入り口へと差し掛かった瞬間──
「【
屋外で圧縮し終わっていた【
「くぅ…………!」
狭い屋内で解放された大気は、逃げ場を求めてビル内の各窓やドアへと殺到する。
必然、今まさに中へ踏み入ろうとしていた
「く、そ」
「よーい…………ドンッ!!」
それに見向きもしないまま、【
「ああ、そういう…………競争ね」
受け身を取って即座に立ち直った
「屋内で【
手甲を纏ったその拳で天井までをぶち抜き、屋上へと躍り出る【
すると空を仰ぐように両手を広げ、呟いた。
「【
すると、これまでのものとは比べ物にならないレベルの圧力が大気を歪め、圧縮していく。
「【
「やれないよ」
トン、と足音を立てて
「はや、過ぎんだろ…………」
「そりゃ、律儀に階段を上ったりしたら、もうちょいかかっただろうけどね。いく先が、屋上だってアタリはついたから、伸縮ワイヤー使って、直行してきました…………さて、そのチャージ、止めて貰おうかなっと」
「勘弁してくれねえかなぁ…………もうちょっとで元気が貯まるんだが」
「私、宇宙の帝王じゃないんで」
などと言いながらに、数多の短剣型
「…………あれ?」
白い刃の群れは、何にも命中することなく、宙空を切るだけだった。
「幻覚、なワケない…………っ、違う、幻影──蜃気楼!」
「ビンゴ、っと。【
これまでとは段違いの圧力で歪められた大気、それの結果生まれた大気密度の差違は光の異常屈折を引き起こしたのだ。
そして見当違いの攻撃をしている内に、既に【
「俺の勝ちだ、食らえ──」
両手を握り合わせるその仕草は、まるで祈りのようだった。
【
「【
「【
──その抜刀は、正しく神速。
瞬時に転回した体勢そのままに放たれた黒き月虹。
その軌跡は糸を引くように伸び、まるで吸い込まれるかのように【
【圧死】を司る
筈だった。
「──は?」
初めて。
ここにきて初めて、
【
如何なる
しかし【
「紙一重、だな。最後の最後に残った伏せ札が、勝負を決めた」
【
【
【
80%以上から0%以下まで、0.4秒以内に推移した際に起こる世界の
故に、一度発動した場合、二度目の発動までに再び80%以上にまで推移しなければならない。
0.4秒。
この状況に於いては、それは余りに永すぎるタイムラグだった。
「改めて──俺の、勝ちだ。
【
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