囚われの身-2

 夜になり、辺りは闇に染まる。遠くの街明かりと県道にわずかに点々とする道路照明。晩秋を迎える季節、月はすでに東の空の高い位置にあって輝き始めていた。


 昨日からの雨もがり、季節的にも夜風は肌寒い。


 建屋に隠れるように外を見張る作業服姿の男達。顔には暗視ゴーグルを被り、手には「H&K」を携行している。


 屋根に2名、工場周辺山林側に2名。互いの死角を補い、全員が一度に襲撃されないよう分散配置されている。他にも山林はトラップやセンサーを配置して万が一に備えている。


 数日前にキャンプ仮設して、周辺を調査警戒しているが、山側から進行してくる気配は無い。夜間にヘリ等で空からの襲撃は困難であり、目立つ。


 人員を投入した日本側の大規模な反撃が有るとすれば、県道の街側からと予測されたが。少し前に、地元の暴走族と思われるバイクが4~5台。クラクションと改造マフラーの排気音で変な音を奏でながら通行したきり、ひっそりと静まり返る。


 「取引相手」の言葉が確かなら、全てが終えるまでの僅かな時間は「セイキノヤクショノテツヅキ」とやらが、稼いでくれる。




 ルキノが監禁された部屋のドアが解錠され、手に照明を持って4人の男たちが入ってくる。ルキノは部屋の床に転がされ横たわっていた。


 「とりあえず戸を閉めろ、冷える。」


 「おい、何か踏んだぞ?」


 「ああ、掃除はしてないからな。」


 男達はルキノを仰向けに抱き起こすと、顎に手をあて、顔を確認するように照明を当てた。


 「薬が効き過ぎて死んでる、、、、訳では無さそうだな?」


 「ああ、影響は個人差の範囲内だろう。」


 「ボクサー、ホントに良いのか?」


 「この女が何者か調べろ。ゴールディーの命令だ。」


 倫理感からでは無く「部隊統制」としてゴールディーは個人的略奪・暴行と言った行為を、部下に認めない。

 組織から「犬」と呼ばれる実行部隊。動物の生殖や発情が、飼い主の意向によってコントロールされるように。「犬」と呼ばれる彼らも又、性欲を「躾」られていた。

 普段では考えられ無い命令に、当惑は無理もないと、ルキノの顔を覗く「ボクサー」と呼ばれた男は思う。 


 「ニンジャってヤツか?」


 連れてこられた「犬」達の一人が、質問する。


 「さあな?だが裸に剥かれれば、「振りを」していても化けの皮を剥がすだろう。ただの女ならそれで問題ない。」


 「「クノイチ」ってのはファックが得意なんだろ?」


 タガが外れ始めた「犬」達に、ボクサーは溜息混じりに答える。


 「それも今から解るさ。」


 「一度にこの人数でか?小柄な女だぜ?」


 思ってもいなかった「ご褒美」に、連れて来た3人の「犬」達は、早くもサカリ始めた。


 「時間が無いんだ。それにこの女が「テダレ」だとしても、4人いっぺんにこの状況では何も出来まい。ゴールディーはソコまで考えて指示を出している。」


 「上手く行き過ぎていると?」


 「用心に越した事は無い。どっちらにしろ損も無いだろ?」


 「なんならお前は見てるだけでも良いぞ?シェパード、俺が代わる。」


 ボクサーは質問が多いのにウンザリして来た。「犬」達は優秀だ、状況把握に努めるべく吼えているというのに、、、、。


 「いや、良く見りゃアイドルみたいな可愛い顔じゃないか。」


 シェパードど呼ばれた男は譲るつもりは無いらしい。


 「歳に比べて日本人は幼く見えるらしいな。ホントはグラマーなメスが好みだが、子犬を犯す「背徳感」ってヤツか?刺激的だね~、たまには悪くない。」


 ルキノを抱かかえた別の「犬」が、息を弾ませ好色の「鳴声」をあげる。


 「久しぶりに嗅ぐ「メスの匂い」は芳しいな。」


 「ああ、ここまで漂って来るぜ。」


 「「仕事」だ、始めろ。手を抜くな。」


 「もちろん、、、、解ってるさ、、、、。」


 「犬」達は口々に吼え、部屋全体に香り始めた甘い「メスの匂い」に喉を鳴らし、「オスの欲望」を漲らせていった、、、、

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