宇宙人、ぴょよょよ~ん。改!

春川晴人

眠れない夜に……

 暑い。そして、寝苦しい。


 おれはベッドから起き、窓を開けて空を見上げた。


 やっぱり夜でも風がとおらない。


 暑い! もうがまんできない!


 コンビニでなんか冷たいものでも買おう。




 コンビニからの帰り道。おれは公園によった。


 そこで、偶然にもブランコをこいでいる宇宙人に出会った。緑色の皮膚、おおきなアーモンド型の目、特徴に残らない小さな鼻と口。


 なんでこんなところに宇宙人がいるんだ? コスプレ?


 もし本物の宇宙人だったら、なにされるかわからない。


 そう思いつつ、好奇心からつい、足を止めて見てしまう。


 やばいって!! 見れば見るほど宇宙人だから。


 こんな時なのに、おれは、子供の頃に見た映画を思い出した。それは、男の子が自転車のかごに宇宙人を入れて、空を飛ぶ、あの有名な映画だ。


 もしかしたら、この宇宙人も、仲間とはぐれて、家に帰りたいだけなんじゃないだろうか。


 そう思った瞬間、宇宙人と目があった。


 やばい。これ、目をそらせないやつだ。


「こ、こんばんは」


 なさけなくも、そんな言葉しか出てこない。


「あ、暑いですね? よかったら、ジュースでも飲みませんか?」


 なに勝手にしゃべってんだろ?


 だいたいどこからジュースなんて飲むんだ!?


「ぴ、ぴょよょよ~ん」

「!?」


 宇宙人は高周波で、なぞの擬音を口にした。そしてやつは、ブランコをおりると、よれよれしながら、おれの方に歩いてくる。


 今ならまだ逃げられる。それなのに、足が動かない。


「ぴょよょよ~ん」

「ジュース、飲みたいですよね、はい、今用意しますから」


 おれの手はふるえて、コンビニの袋にはりついた炭酸ジュースをなかなか取り出すことができない。


 宇宙人がやってくる。ジュースをもらいにやってくる。ペットボトルがなかなか袋からはがれない。


「ぴょよょよ~ん」

「えっと、あの……」


 宇宙人は、おれの目の前にいた。


 おれは、あきらめて、袋ごと、宇宙人に差し出した。ああ、おれのポテチ。


「ぴょよょよ~ん」


 宇宙人は、おれの手からコンビニ袋を受け取った。あげます。差し上げますから、命だけはお助けください!


「ぴょよょよ~ん」


 そして宇宙人は、おれの額にデコピンした。もうだめだ。おれは一撃くらってしまった。





「はっ!?」


 あれ?ベッドの中? 夢だったのか? よかったぁ。


 でも、いやにリアルな夢だったな。




 それが夢ではなく、現実だったということは次の日の夜にわかった。デコピンをくらったおれの体は、緑色に変色し、目はアーモンド型に大きくなり、鼻と口は申し訳程度に小さくなっていたのだ。宇宙人にデコピンされたおれは、宇宙人になってしまったのだ。


 これでは夜出歩けない……じゃ、なくて、だれか人間に戻してくれ!?


 ってか、このペースだと、地球人が宇宙人にされちまうのはあっという間だぞ。もしかしたら、もうみんな、宇宙人になってるんじゃないのか!?




 おわり






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