パルム 1

突っ込んできた巨大なはさみにホープセーバーを突き刺す。そして、そのまま突き飛ばした。

吹き荒れる黒煙が飛び交う砂に紛れる。


「うわ~、あっち~」


だれる俺にひそかに水のはいったボトルを手渡したのはイブ。


「水・・・飲まなきゃ倒れちゃうよ」


イブは頬を赤らめながら、水を飲む俺を見る。

その隣ではフィルがくすくすと笑っていた。


「なんだよ」


フィルは俺がにらんでもなお笑いながら


「いや、なんでもねぇイ」


とからかうように言ってくる。


「フィル、からかうのはやめな。まぁ面白いのはわかるけどね」


最後に余計な一言を付けたしたのはパルムだ。

今日の朝、俺たちはある程度のお金を持って町を出た。ついてきたがルセフを置いて・・・。


「ねぇ、フィルさんはセフちゃんおいてきちゃってよかったの?」

「まァな。どうせあと1か月後には会えるんだからよォ」


セフはついてきたがっていたが魔術学校もあるため馬車でヴォーストという町で待ち合わせした。的に行けば三日ほどでつく距離らしいが俺たちは聖剣を手にするため宝玉集めの旅ということだ。


「おォ、見えてきたぞォ」


フィルの指の先にはこれでもかというほど大きな赤い尖がりの信教神教会の協会が見えた。


「おいおい、あれどこにでもあるのか?」

「少なくとも私のいた時代には全部の町にあったわよ」


うんとうなずくフィルとパルム。


「そりゃスゲーな」


思わず棒読みで口にした。ぞの時点ではまだ距離があったためか詳しくはわからなかったのだがどうやら町を囲うようにして衛兵が配備されているらしい。


「ここを通すわけにはいかないな」


眼前におろされた槍。俺は一歩あとずさった。


「ちょっとあなたね・・・」


フィルがイブの肩をすとんとたたく。


「なァ、衛兵さんよォ。とおせねェってことはなんかわけがあんだろォ」

鋭い一言に衛兵は二人で何やら会話を交わした後俺たちに「その男がいてはとおさない」


とパルムを指さしながら言った。顔面を覆いかぶさる鎧のせいか声が妙に金属質だ。


「いいよ、ブレッド・・・もう行こうよ」


そういったパルムは身をひるがえして左側に見える湿地帯へと進んでいった。その背中はいつものパルムとは違う、何か・・・重たいものを背負っているように見えた。


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