第33話

「おい! あれなんだよ!」

 魔具と交戦を続けていたエリツヘレムの人々は、森の中から溢れる光を見た。その光の線は天を貫き。雲を引き裂いた。眩い光が辺り一面を支配する。

「おいこれって――」

「ああ、間違いない!」

 男たちは駆け出した。武器を捨て、代わりに楽器を手に取った。物見台の上に駆け上がり、そこで器楽を引き鳴らした。

 太陽が二つ現れた時、この地に平安が訪れる。

 人々が待ち望んでいたものがそこにあった。

 歓喜の歌が、勇壮な旋律が、大地を揺るがせた。

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