30-②
海賊船が空を飛ぶ。
土曜日の午前中に夢に溢れたその光景を目にしている者は一体何人いるだろうか。
重い色の雲に支配された空を見上げる物好きはそういない。ただでさえ、昨今の人々はデジタル機器を片手に俯いてばかりいる。
けれども海賊船の存在に気付いている者もいた。
電子双眼鏡を手に雨合羽を着込み、人が来ることもないビルの屋上へと上る。気休め程度に簡易テントを立てるが、強風が吹いてきたら役立たずになるだろう。
あと用意するのはアウトドア用の椅子。濡れない位置にファストフード店の紙袋。
双眼鏡から目を放さずに紙袋を漁って中から取り出したのは、ぬるくなったてりやきバーガー。慣れた手付きで包み紙を開き、大きな一口で齧り付く。
最初にやって来るのは日本独特の甘辛いてりやきソースだ。ソースがしこたま塗られたほどほどの薄さのポークパティは、豚の旨味よりもソースの味がガツンと来る。
しなびたレタスと、レタスに乗せられたマヨネーズも口の中で一体化すれば、てりやきとマヨネーズのミックスという尋常じゃない濃厚ソースに進化する。ソースが染み込んだパンズではそれを中和などできない。
なので、このタイミングでフライドポテトを2、3本摘まんで口に入れる。できれば塩が薄いところが良い。
油と炭水化物と塩味が不味いはずがない。てりやきソースと馴染んだポテトを限界まで咀嚼して十分旨味を堪能してから、氷が溶けたメロンソーダで流し込む。
メロン……メロン果汁など入っていないはずの、緑色の甘い炭酸飲料をメニューで見付けてしまったら思わず注文してしまう。油性マーカーのような緑色は、何故か外食の特別感を演出してくれる最高の舞台装置なのだ。
てりやきバーガーにフライドポテト、そしてメロンソーダ。口の中が安っぽい旨味で凝縮される、だがこのジャンクさが良い。最高だ。日本に来たなら、日本でしか味わえないジャンクフードを堪能するのが乙なのだ。
「やっぱり、日本に来たならこれだよな」
誰にも聞こえない独り言は非常に満足気に呟かれた。視線は双眼鏡から――双眼鏡が捕らえる『ジョリー・ロジャー号』から離れない。
4Lサイズの雨合羽を着た太ましい男は、てりやきバーガーを頬張りながらフック船長が行っている桐乃の足止めを監視していた。
きちんと足止めが行われているか、桐乃が『若紫堂』へ向かうのを阻止できているかどうかの監視だ。
脅迫する形で無理に【読み手】として覚醒させた青木紗希子には申し訳ないが、男にとってこれは仕事なのだ。
大丈夫、彼女の息子と夫も別な目が監視してはいるが実際に危害を加えはしない。
「……彼女、そう長く足止めできるような【読み手】じゃないな」
双眼鏡の先、フック船長の『ジョリー・ロジャー号』では、桐乃が下っ端海賊相手に大乱闘していた。
『足止めが命令デス!』
『命令デス!!』
『大人しく捕まりやがれデス!』
『やがれデス!!』
「は・い!」
『撃て!』
『鉛玉撃て!!』
「わぁ、絶体絶命だ」
盛大な嘘が吐かれたことによりピノキオの鼻が伸びた。
『モンストロ』を引っ込めた桐乃は、カットラスを手に襲いかかって来る先頭の下っ端海賊の腹部中心――所謂どてっ腹に、『嘘吐きの鼻』のトンファーを突き刺した。
勢いをつけて伸びるトンファーに突かれた海賊の身体はマストに衝突する。くるりと手を翻して握りの向きを変えると、何mものトンファーを薙いで周囲の海賊を一掃。
嘘を吐き続けたトンファーが更に伸びて船首のマストに突き刺さって貫通し、古めかしいピストルの銃口を桐乃に向けた海賊たちの頭上には影が落ちた。バキバキと音を立てながらマストは倒れ銃撃部隊は下敷きになった。
マストの下から這い出て来てカトラスで切り付けても、桐乃の腕には糸が付いている。帆の上に座って糸を操るのはアルレッキノとパンタロネ。『歓喜のマリオネット』によって自身の身体を操り、身体能力上昇のバフをかけていた。
スレスレのところでカトラスを避けてトンファーで脚を払い、バランスを崩した海賊へ蹴りを入れる。
たかが女1人と侮るな。
こちらは、天候不良が続いた鬱憤もあって少々気が立っているのだ。
『船長……駄目デス!』
『強いデス!』
『帰りまsh……』
弱気な発言をした海賊の眉間をフックのピストルが撃ち抜いた。
他の海賊たちから小さな悲鳴が漏れる。血飛沫を上げることもなく、糸の切れた人形のように倒れた海賊は死体を残さずに白い煙を残して消えた。フックの左手のピストルからは火薬の煙が上がっている。
『みっともなく泣き言をいう奴も、チンピラ紛いの海賊生活に満足する奴も私の船には必要ない。船長が命令したのなら従え、お前らはそのためだけに創造された。私もこのために創造された。もう一度だけ言う……彼女を丁重に足止めしろ!』
フックは再び引き金を引く。空に向かって撃たれたピストルは海賊たちに発破をかけて、勇み足に甲板を踏み込んだ。
桐乃が相手にしているのは、美しくも冷酷で子供相手に怨嗟を隠さず残忍な剣を向ける海賊だ。悪役に徹する海賊紳士も好きだな。一瞬そう思ってすぐ止めた。
目の前には再び迫る下っ端の群れ。カトラスの切っ先とピストルの銃口があったので逃げる。
「ちょっと失礼しますよ。アルレッキノ、パンタロネ!」
桐乃の声に敬礼をした二体のマリオネットは糸を繰る。
桐乃は下っ端の群れに真正面から突っ込むと、姿勢を低くして雨水に濡れた甲板の上を滑った。引っ張る糸のバフもあって下っ端たちの足元を軽々とスライディングですり抜けると、柔軟に身体を起こして海賊船の内部に繋がるドアを蹴り破る。
鎹がひん曲がったドアを超えて内部に逃げ込む桐乃と、彼女を追う下っ端の海賊。だが桐乃の脚は結構早かった。
『待ちやがれー!』
『大人しく捕まれ!』
『ったくもー……ヒィ! 船長!』
『私が行こう。彼女に合わせたくはない』
ジョリー・ロジャー号の船長室。船内で最も上等な部屋には、『ピーター・パン』の【本】を抱き締めた彼女がいる。
昨日から一睡もできず夫と息子の無事を祈りながら船に揺られ、フックの言葉を信じてただ時間が流れるのを待っていた紗希子がいた。
「早く……早く、15時になって。このまま時間が過ぎれば、悠君も彼も無事に帰って来る。お願い、早く、このまま……大丈夫、船長が何とかしてくれる」
酷く憔悴してがたがたと震える紗希子の姿は痛々しい。真っ青な顔色と目立つ隈をメイクで消す余裕はなく、酷い顔をしていた。
部屋の外で大きな音や発砲音が聞こえる度に肩を震わせて【本】をギュっと抱え込み、ベッドの隅でシーツを被り小さくなる。荒事を知らない女性としては当然の反応でもあった。
今までで一番大きな音がして、紗希子は反射的に耳を塞いだ。壁一枚を隔てて悲鳴が聞こえる。人間が殴られる音や、船内が破壊される音も……恐る恐る目を開いて音がした先を見ると、下っ端海賊の1人が壁を突き破って船長室に倒れ込んでいた。
「えーと、ここは……豪華な造りだから、フック船長の部屋かな」
「っ、あの人……!」
「え、誰かいた!」
下っ端海賊が突き破った穴から、突き破る原因の主犯である桐乃が室内を覗き込むと、シーツに包まっている紗希子を発見する。紗希子も桐乃の顔を見て、送られて来たターゲットの写真と同じ人物だと気付いた。
彼女を時間までに足止めすれば、夫と息子は無事に帰って来る。跳ねるように立ち上がった紗希子は、シーツを翻して桐乃へ近付くと、彼女に縋り付いて必死に訴えたのだ。
「お願いします! 15時までこの船にいてください! お願いします、お願いだから……!」
「え、え? どちら様? ってか、どういうこと?」
「貴女を足止めしなければ、私の息子と夫が……! 悠賀が!!」
「え?」
桐乃には状況が把握できていない。この女性は一体誰か、何でここにいるのか?
だけ、一つだけ分ったこと。彼女は酷く怯え、震え、焦り、追い詰められている。
困惑した桐乃は周囲への警戒を疎かにしてしまった。背後から迫る鉤爪が彼女の首にかかり、丁重なんて言葉をどこかに海に放り投げて乱雑に床へ叩き付けたのだ。
「痛っ、た……!」
『彼女に近付かないでもらおうか!』
「そうか、この人が『ピーター・パン』の読み手か」
「船長!」
『マダム、全て私にお任せを! 貴女は祈り、ただ待っているだけで良い! 貴女が願った私が……』
「何だかよく分らないけど、痛いんですけど! モンストロ!」
鉤爪を引っ掛けられた首も叩き付けられた背中も痛い。この恨み、感情のままに返してやろうか。
狭い廊下に創造された巨大な鯨の怪物がバキバキと音を立てて壁を破壊する。風通しが良くなり雨粒が船内に入って来ると、フックは紗希子を庇ってコートの陰に隠した。
再び巨大な鯨が現れるとフックの薄い唇が弧を描いて笑みを浮かべた。
鉤爪が手首からポロりと外れて下からライフル銃が出てくる。怯える紗希子を突き飛ばして船長室のベッドに沈めて【戦い】から遠ざけてから、モンストロの眉間を狙ってライフルを発射した。
『お嬢さんは広い場所がお好みかな。だが、私は狡猾な悪役でね。逃げ場のない海上で、鰐が口を開いて待つバウスプリットの足場で、追い詰めるのが得意なんだよ!』
『痛!』
「それなら、『ピーター・パン』のクライマックスの真似事でもしましょうか!」
『よろしい。受けて立とう』
モンストロの眉間に命中した弾丸は弾き返された。化け物の皮膚は硬いのである。
『ピーター・パン』のクライマックスと言えば、細い舳先の上でピーター・パンとフック船長が剣を切り交わすあの場面だろう。足を踏み外して海に落ちた者は、大口を開けて待ちわびている鰐の餌となる運命だ。
『歓喜のマリオネット』の糸で身体を引っ張られた桐乃は、モンストロが開けた穴から跳び上がって舳先ことバウスプリットの上に着地する。彼女を追うフックも左手にレイピアを抜いてバウスプリットに足をかけた。
ここから落ちれば海、ではなく雨粒で濡れる都市のコンクリートに真っ逆さまだ。鰐の餌になるよりも飛散な結末になる。
『自らを舳先に立つとは、あの忌々しい糞餓鬼にでもなったつもりかな。ピーター・パンの真似事でもすれば私に勝てるとでも思っているのか!』
「いいえ。突破してやるから立ったんだろうが! それに、私はピーター・パンよりもフック船長が好きなものでね!」
『おや、これは光栄だ!』
本気か嘘か分からない言葉を皮切りに、桐乃のトンファーとフックのレイピアの剣戟が始まった。
集まって来た下っ端海賊たちは当然フックを応援し、桐乃に品性の欠片もない野次を飛ばしてクライマックスシーンの再現を茶化している。
ただでさえバランスが悪い上に、雨で濡れて滑りやすくなっている細いバウスプリットでの【戦い】は、一瞬でも気が抜けばお終いだ。
空を飛べるからと舐め腐って相手を小馬鹿にしながら真剣(笑)勝負をしていたピーター・パンのような余裕なんて、あるはずがない。
「……船長、フック船長」
船長室に籠っていた紗希子がよろよろと甲板に出て来た。
フックは桐乃と戦っている。物語の結末にように、バウスプリットから落ちてしまったらフックは鰐に食べられてしまう。
「船長、駄目! 危ないわよ、落ちちゃう! 落ちたら鰐に食べられちゃう!」
『マダム! 中にいて下さい、空に鰐などいません!』
「一体何があった! 目的は私、だけど足止めって何? 足止めして何になる?」
「貴女を足止めしないと、私の息子と夫に危害が及ぶんです! お願いします、悠賀と夫を助けてください!」
「っ、そういうことか」
舳先に縋り付く紗希子の言葉で合点がいった。
誰かが彼女の家族を盾に脅している。『ピーター・パン』の【本】を使って桐乃を足止めしろと要求を出したと理解したが、何故要求が足止めなのかは分からない。
そして、焦り、怯え、今にも泣き出しそうな紗希子が何とか立ち上がっているのは、フックがいるからだ。今の彼女の精神的な支えは、フック船長という悪役なのだ。
『聞いたな、全部聞いたな!』
「聞いた。彼女のためヒーローだったのか」
『笑うか! 子供たちに嫌われる
「笑わないよ! だって貴方は彼女にとってのヒーローだ! 持論だけどね、ヒーローってのは自称する者じゃないよ。誰かがヒーローだと思えば、悪人面だってヒーローになれるんですよ!」
『青臭い主張をしないでいただきたい!』
「ああっ!」
紗希子が口を覆って悲鳴を上げた。
フックのレイピアが桐乃の右頬を裂き、バランスを崩した彼女の脚を払ってバウスプリットから突き落としたのだ。腹を空かせた鰐以上に酷な下の世界を覗く度胸はないと言わんばかりに、フックは落ちた桐乃の姿を確認せずに振り返る。
が、振り返ったその先に、バウスプリットに座って脚をブラブラさせている道化師がいた。
『Ciao!』
『こいつは……っ、しまった!』
「妖精の粉がなくても、空は飛べる!」
フックに手を振ったのはアルレッキノ。
忘れていた。桐乃の身体には、マリオネットたちが操る糸がついたままだったことを。
彼女は飛べる。アルレッキノが手にしている操り糸で飛べるのだ。
バウスプリットに巻き付いた糸が、桐乃を錘にして振り子の原理でフックの目の前に舞い戻って来た。空を飛ぶ
逃げ場のない空中で桐乃にライフルを向けて狙撃しようとするが、『ピノッキオの冒険』の【本】が光る方が早かった。
『らっしゃーせ!』
『なっ、攻撃か!』
「そうだよ!」
『はーい! 飲―んで飲んで飲んで!!』
ロバの被り物をした怪しい居酒屋店員がジョッキの中身をフックにぶちまけるが、これは攻撃ではない。『ドンキー・エール』のジョッキの中身は傷を癒す回復の能力だ。
それを知らないフックがエールを防ごうとしたその隙に、嘘によって伸びたピノッキオの鼻がフックを突き飛ばした。
「嫌あぁぁ! 船長!!」
『……後生だ、悪役らしく脱落させてくれ』
「言っただろう。私はピーター・パンよりは、フック船長派って。貴方にその気はなかったかもしれないけど、とっくの昔に彼女にとってのヒーローになっていたんだ。ヒーローがやられるエンディングは、誰も読みたくないでしょう」
『糞餓鬼と一緒くたにされるぐらいなら、悪役の方がマシだ』
完全にバウスプリットから落ちたフックだったが、桐乃とマリオネットたちに手を掴まれて無事だった。
桐乃の言う通り、紗希子のヒーローであるフック船長が、物語以上に悲惨な末路で船から落ちるエンディングは誰も読みたくはない。それと、好きな物語のキャラクターを助けるのに理由なんていらないのだ。
「船長! 良かった、良かった船長……私、貴方がいなくなったらどうすれば……」
『マダム、申し訳ない。私は彼女を』
「足止めはもう十分でしょう。なら! 貴女を脅している奴らから叩いた方が早い」
「え……?」
「船長。この船、こんなに立派な大砲が付いているんだから……そいつ、狙撃しよう」
『え、この人怖い』
『船長より怖くね?』
紗希子に桐乃を足止めさせることが目的ならば、要求が実行されているか監視している奴が必ずいるはずだ。
実際に、いる。
てりやきバーガーを食べ終わり、冷えて硬くなったフライドポテトをポリポリ噛み砕きながら、すっかり氷が溶けて炭酸も抜けてしまったメロンソーダを啜る男がいた。
「小野寺桐乃がフック船長を救出した。熱い展開だ、少年漫画かな」
男はスマートフォンを取り出して時間を確認する。あと3分で午前11時になる。
桐乃の足止めの時間は保険のために十分すぎるほどの指示を出した。本当に15時まで足止めをしなくとも、そろそろ……。
男が双眼鏡から目を離し、ジョリー・ロジャー号の監視の目が離れたその一瞬。大砲がこちらのビルに向かって発射された。どう考えてもビルにいる男を狙った所業である。
今日の空よりも重く、非常に太ましい男の体重よりも重い砲弾が撃ち込まれたので、もれなく男は簡易テントごと吹っ飛んだ。
「……ま、思ったより早く終わったから、良いか」
吹っ飛んだ男の手にあるスマートフォン。『回収完了しました』の業務連絡を確認すれば、桐乃を足止めする必要はなくなる。
そう、仕事……仕事で吹っ飛ばされるのは正直納得いかないが、仕事だから仕方がない。傷害手当を要求しよう。
哀れ、男は海賊船によって砲撃されたのだった。
「よし、飛んだ」
「悠賀は? 息子は……」
『落ち着いてくださいマダム。彼の本日の予定は?』
「今日は、宿泊施設で人形劇を」
『行きましょう! 彼の無事を確認するために。貴女のために船を走らせます。私は、青木紗希子様が望み、想像して創造した貴女を助けるためのフック船長です』
「……お願い」
ずっとこちらを監視していた存在が吹っ飛んだの確認し、人質に取られていた子供の安否を確認するために海賊船が走る。桐乃も成り行きで船に乗ったままだ。
「何で子供を人質に取ってまでして、私を足止めしたかったんだ?」
それは、あと1時間も経たぬ内に理解することとなる。
本日、6月の最終土曜日は全国の中学2年生、高校2年生を対象とした全国模試が行われているため、この学年に当たる学生は学校に缶詰め――足止めされている。
「檜垣! 檜垣響平!」
「どしたの先生」
「家から電話があった。お祖父さんが……」
「え」
岩手県印束市。英語の模試を終えて背伸びをしていた響平は、緊急事態を理由に残りの模試を受けず下校した。
家に強盗が入った。しかもその強盗は、鉢合わせた龍生を殴り倒し檜垣家の蔵を物色して逃走。意識不明の重体となった龍生は、五平餅の散歩から帰って来た父に発見され救急車で運ばれた。
目的はこれだった。
東京では、紫乃が1人だけで店番をしている『若紫堂』に不届き者が押し入った。バイトである2人の内、1人は模試で足止めして、もう1人はそこら辺にいる扱いやすそうな【読み手】を使って足止めして。
「……っ、やられた!」
首の後ろを抑えて起き上がった紫乃が目にしたのは荒らされた夫の仏壇。仏壇に隠していた白い【本】――
紫乃の『源氏物語』も夏月から預かった『クリスマス・キャロル』も、今まで集めていた【本】が全て奪われていたのだ。
非常識な1年間が始まって半分が過ぎた。非常識な白い【本】強奪事件は、日本のみならず世界中で起きていた。
To Be Continued……
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