幕間

        §


 カーテンの端へと回り込み、合わせ目を探しては、少女の気配を追いかける。いつまで経っても見えない背中に、朱鷺乃ときのは焦りを抱いていた。布を隔てた人の気配。ちらりと垣間見える白い翼。

 出口に案内してくれるという天使なのか。鈴を振るようなクスクス笑いが、すぐ近くで聞こえるのに、いつまで経っても少女に追い付くことができない。

 じれったさにカーテンの裾をまくり、しゃがんで潜り抜ける。スカートの乱れを気にしている余裕はない。どれだけ追い掛けただろう。疲れ果て座り込むころには、獣の息遣いも少女の気配も感じなくなっていた。


「困りましたわ……」


 迷路を抜ける唯一の手掛かりと、無我夢中だったが、気が付くと緞帳の海に一人取り残されている。子供のころ遊んだ物置小屋の秘密基地に似た、安心感と圧迫感の入り混じった感覚を抱く。

 カーテンに沿って、壁に行き着くまで歩いてみようか。それとも、目星を付けて入り口の扉に戻ろうか。

 途方に暮れる朱鷺乃の目の前で、不意にカーテンを割り一人の人影が現れた。

 人がいるとも思えない場所での突然の邂逅に、身を固くするだけの朱鷺乃だったが、それが見知った人物だと気付き二度驚いた。


「あら……あなたは」


        §

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