9-10
「それはね、私たちも、もっと
「はい、はい……、ごめんなさい、調子に乗っていました……」
いつの間にやら、俺たちが集まる時のお決まりになっているヴァイスインペリアル中央本部ビル最上階の、俺専用ということになっている豪邸にて、本来ならば、落ち着くための場所であるリビングで
とはいえ、そんな先輩に怒られるのも悪くないなと、怒れられている張本人の俺が思っているのは、ここだけの内緒だ。
正義の味方を撃退してから、とりあえず、また時間ができた俺たちは、そのままの流れで、こうして全員一緒に、いつもの場所で、いつものように、
これでは、まるで
それに、実を言えば、今回は俺たちだけじゃなく、お客さんもいるので、あんまりそういう不名誉なことは、口に出したくないわけで……。
「健全なお付き合いって……、もうすでに、このダメ男を中心に、目も当てられないほど
「ふふふっ、それだけ仲が良いってことよ。ちょっぴり、羨ましいです」
まあ、もうすでに、現在進行形で、こんな
しかし、こうなると、女神のような樹里先輩に、優しく怒られるのもいいけれど、鬼のような朱天さんに、冷たく
「……なんだか、
「はっはっはっ、いやだな、気のせいですよ、朱天さん」
いかん、いかん。どうやら俺の中の
ふー、気を付けないと……。
「もう、統斗君! 聞いてるの?」
「はっ、はいっ! もちろんです、先輩!」
なんて、現実逃避している場合じゃない。というか、そんなことしていたら先輩に失礼ぎるので、もっとちゃんと、しっかりしないと。
「まあね、やっちゃったことに関しては、アタシは仕方ないとは思うのよ。でもさ、戦闘中に、ああいうことになるのは、やっぱりよくないんじゃない?」
「
「えーん! ごめんなさーい!」
向こうで、ひかりの奴も、火凜と
「はい、竜姫ちゃん。熱いから、気を付けてね?」
「ありがとうございます、
そして、桃花がお
「えへへっ、竜姫ちゃんの持ってきてくれた和菓子に合うかなって、頑張って
「これは買ったんじゃなくて、うちで働いている料理人が、統斗さまのお家に遊びに行くと言ったら、作ってくれたんですよ。なんだか、とっても喜んで……」
お茶に続いて、お盆から繊細なデザインが美しいお菓子の数々を置きながら、腰を下ろした桃花と竜姫さんが、仲良くしている様子は、見ているだけで、こちらの方が幸せになってしまう。
うん、本当に、幸せだ。
桃花と竜姫さんのことだけじゃない。みんなが一緒の、この時間こそが、なにより
ここまで色々あったけど、自分の決意を、覚悟を、思いを、
なにが起ころうと、この
この幸せを、いつまでも、いつまでも、続けていきたい。
それこそが、俺の新しい決意であり、貫くべき覚悟なんだ……!
なんてことを、俺は正座して、怒られながら、しみじみと思うのだった……。
「おーいしー! 和菓子って、あんまり食べたことなかったけど、こんなに美味しいなんて、思わなかった! ほら、統斗! あんたの分もよこしなさい!」
ようやく……、と言ってしまうと、まるで反省していないみたいだけど、あくまで時間的な意味で、ようやくお説教から解放されたひかりが、えらく
……というか、多分こいつは、反省してないな。うん。
「いやだよ。だが、お前のやつと半分づつの交換なら、
「むっ、仕方ないわね。それで手を打ってあげるわ」
まあ、今回の件は俺も悪かったので、ここは無駄な争いをせずに、こちらから提案した
よしよし、ここは傷の舐め合いといこうじゃないか。
「そうだ! 今度、うちらと
「ダメですよ、火凜。そういうことは、ちゃんと事前に打ち合わせして、組織として予定を組まないといけないのです。そんな
「いや、我々としても、そういう機会を
あちらでは、火凜と葵さんが、なにやら朱天さんと、面白そうな話をしている。
でも、火凜は最近
「桃花さんって、お料理がお得意なんですよね? 実は私、そういうことが、なにもできなくて……、もしよろしければ、ご
「うん、大丈夫だよ! ここのキッチンなら大きいし、今度一緒に、みんなで食べるご飯を作ろうか! きっと、楽しいよ!」
「それ、いいわね。私もあんまり、お料理って得意じゃないから、混ぜてもらってもいいかしら? これからは、統斗君に、色々作ってあげたいし」
そして向こうでは、なんとも楽しそうな竜姫さんと、桃花に樹里先輩が、とっても楽しそうに、おしゃべりに花を
というか、なんだか嬉しい約束をしてるみたいだから、期待していよう。
「うーん、お茶が美味い……」
さて、こうして落ち着いて、この状況を考えれば、まさしく
少しだけ、気になることはあった。
「そういえば、今日はどうしたんですか、竜姫さん? 来てくれて嬉しいですけど、突然なんで、びっくりしちゃいましたよ。そっちで、なにかあったんですか?」
そう、いつもなら、お互いの立場があるので、こっちに来るときは、事前に連絡をしてくれていた竜姫さんたちが、いきなり
というわけで、ちょっとだけ心配だったわけなんだけど。
「あっ、そうでした! 本日は、御報告があったのです!」
こうして、満面の笑みを浮かべてくれた竜姫さんを見る限りでは、なにやら問題が起きたとか、そういう話ではなさそうで、一安心だ。
うーん、だとすると……。
「ご報告ってことは、もしかして、あの老婆について、なにか分かったんですか?」
とりあえず、八咫竜から報告が上がるような調べ物といえば、どうしても、まずはそれが思い浮かぶ。
いまだに正体が
「いや、少なくとも、
しかし、朱天さんからの返答は、
とはいえ、そんなに簡単に、バッチリと答えが分かるような相手だとは、始めから思っていないので、俺には、特に
でも、だったらなんだろう?
「ですけれど、あの封印されていた資料を調べてうちに、これまで知る
そんな俺の疑問に応えてくれたのは、満面の笑顔が
「もちろん、この後で正式に報告を上げさせていただくつもりなのですが、まずは、ご協力いただいた統斗さまのお耳に、嬉しい報告ができましたらと、思いまして!」
ウキウキしている竜姫さんを見ると、なんだか俺の方まで元気になれるし、そんな彼女からの嬉しい報告なんて、胸がドキドキしてしまう。
うーん、楽しみだなぁ!
なんて、俺が
「それでですね、これは、その中の一つなのですが……」
まるで、大事な秘密を打ち明ける子供みたいに、無邪気に喜んでいる竜姫さんは、もう待ちきれないといった様子で、その
「
さあ、八咫竜の
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