第365話 大阪市西区新町のラーメン(麺250g野菜ましましにんにく増しあぶら増しカラメましまし)
「腹が、減ったな……」
久しぶりの練習帰り。体力は想像以上に消耗し、腹の虫は大騒ぎだ。
だが。
「……今日は定休日か」
目星を付けていた店は定休日。すごすごと帰る他ないのだが。
「いや、ここなら」
帰宅経路で寄れないこともないところに、同系統の店があった。
ならば、行こう。
かくして私は、西長堀の地に降り立っていた。
この界隈は比較的麺屋が多かったりするのだが、向かうのはそこそこ新しめの店だ。新町にあるのも何かの符合か。
長堀通りの北東に出て、東へ。少し北側の道へ入って、更に東へ。
「お、あったあった」
こちら側から向かう機会は少ないので少々道に自信はなかったのだが、目的の店の赤い看板が見えてホッと一息。道はあっていたようだ。
「すぐ入れそうだな」
比較的早めの時間だったのもあり、先客は一人。
さっそく食券機へと向かう。
「まぁ、ノーマルでいこう」
ラーメンの食券を確保すると、入ってすぐのカウンター席へ案内される。
セルフのおしぼりとレンゲと箸を取り、水を汲んで席へと着く。
「麺の量は?」
「250gで」
と取りあえずそれだけ告げれば後は待つばかり、だ。因みに、並は300gなので、これでも減らしているのである。
おもむろに『ゴシックは魔法乙女~さっさと契約しなさい!~』を起動する。現在は『怒首領蜂 最大往生』コラボイベント開催中だ。朱理を確保したのだが、レーザー装備の眼鏡差分が存在しない致命的なバグはどうにかして欲しいが、演出などが怒首領蜂になっているのはとても楽しい趣向である。
エレメントドールたちはともかく、陽蜂がロストチルドレンとしてやってきて大概なことになっているのはさておき。ボムを撃つと『バーリア! 平気だもーん!』と言って無効化する真ボスなのだから、仕方ない。
おでかけを仕込んだりもするが、すぐに調理に入っていたので出てくるタイミングが掴めない。それに、空腹で挑むには少し面倒なステージでもある。
無理はせずゴ魔乙を終了し、水を飲んで一息吐く。
気がつくと、少しずつ客が入ってきている。席には仕切りもあり、且つ、一つずつ席を空けて案内してしっかりとディスタンスは確保されているのが安心だ。
そうこうするうちに、麺上げの気配があった。
ほどなく。
「にんにく入れますか?」
「にんにく増しであと、野菜ましましあぶら増しカラメましましで」
とサクッとコールする。疲れているのだ。カロリーが必要なのだからあぶらも増してみた。
まずは、野菜がこんもりと盛られた上に脂、麓の三分の一ぐらいのたっぷりにんにく、そして豚が入った丼がやってくる。
更に、小皿に脂。そして、丼に追加の野菜がやってくる。こちらも脂が乗っている。
野菜ましましは別皿スタイルなのだ。
「いただきます」
まずは、別皿の野菜をスープに浸して喰らう。こってりした豚骨醤油というか豚脂味だが、野菜だから健康的なのだ。野菜を先に喰うのは時間栄養学的にも正しいだろう。
そうして、麺を引っ張り出す。太くやや平たく固い麺は食べ応え抜群。腹の虫が歓喜する。
豚を囓る。肉だ。肉味だ。
にんにくをガッツリ混ぜて天地を返し、野菜を浸したりしながら、ガッツガッツと喰らう。
腹の虫の求めるがままに、だ。
脂とにんにくのコラボレーションで野菜もこってり。ずるずると麺が滑るように胃の腑に収まっていくのは潤滑脂の働きか?
しかも、この潤滑脂、追加があるのである。
そうそうに別皿野菜を食い切ったところで、メインの丼に注ぎ込む。
ドロドロトロトロのスープに麺と野菜と豚が塗れる。それをズルズルと潤滑脂によって胃の腑へと。
思いの外、すんなりと。
「もう、終わりか」
脂が浮かぶスープと、麺と野菜と豚の切れ端。
れんげでしばし追い駆けて余韻を楽しみ。
最後に水を飲んで一息入れ。
「ごちそうさん」
店を後にする。
「さて、帰るか」
くちくなった腹を抱え、駅へと向かう。
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