第364話 大阪市浪速区難波中の631らーめん
「疲れた、な」
色々としんどいご時世ながら、最大限の対策を取りつつも開催されたこみっく★トレジャー38。平時よりも小規模ながら、イベントの空気は十分に味わえ、良い刺激を受けた帰り道。
「というか、腹が、減ったな……」
まだ少々早い時間ではあるが、昼を早めに済ませていたので、食事の感覚としては夕飯時とも言えるのだから、特におかしくはない。
となれば。
「帰って作るのも面倒だし、何か喰って帰るか」
というわけで、気がつくと私は日本橋オタロードにいた。イベントの帰りの定番の場所でもある。
その北端。入り口を入ってすぐ。
腹の虫は待ってくれない。
「よし、ここにしよう」
ソフマップの前の麺屋に入る。先客が食券を買って案内されたのに続き、食券を買おうとしていると。
「今満席なんで外で待ってください」
どうやらタイミング悪く、前客で満席になってしまったようだ。
とはいえ、回転は速いだろう。
改めて食券機に向かい、
「せっかくなのでこれにするか」
631ラーメンの食券を確保して店外へ。
少しすると、店員が出てきて先に注文を通してくれる。
「スープは」
「黒胡椒で」
「麺の固さは?」
「硬めで」
「アブラは?」
「普通で」
「麺大盛りできますが」
「大盛りで」
と、必要事項を回答すれば後は待つばかり。『ゴシックは魔法乙女~さっさと契約しなさい~』を起動……したところで、早々に客が複数退店していった。
ほどなく。
「先頭のお客さんどうぞ」
ということで、店内へと。
案内されたカウンター席に着いて荷物を降ろして一息吐き。まずは入り口にある保温ジャーへと。今の時間はご飯食べ放題である。
深めの茶碗にご飯をよそいで席へ戻り、ゴ魔乙へと向かう。が、先に創り始めているのでそんなに時間はないだろう。おでかけだけを仕込んで一区切りすると、案の定、注文の品がやってくる。
「うんうん、631だ」
丼の縁半分以上にそって、大きな6枚の海苔が。茶色いスープの上には、3枚のチャーシューが。そして、1個の味玉。まごうことなき631ラーメンである。尚、通常トッピングのほうれん草と刻みネギとうずら玉子も載っている。
「いただきます」
まずは、ほうれん草だ。野菜を最初に食うのがいいのだ。スープに浸して食せば。
「うんうん、健康的な気がするな」
ほうれん草の食感に黒胡椒味噌のこってりした味わいが絡んでくる。旨い。
続いて、スープに海苔を浸し、ご飯に巻いて食す。
「ああ、、これは、いいぞ」
濃厚なスープと海苔で即席豚骨味噌おにぎりのできあがりだ。旨くないはずがない。そこを更に、麺で追い駆けるのも一興だ。贅沢にのったチャーシューは炙られて香ばしく、足りない部分をスープで補う。
海苔でご飯を食し麺を喰らい、チャーシューを囓る。
最高のローテーションの完成だ。
が。
「ご飯が、ない、だと……」
いつもよりご飯が進んでいた。
どうしよう?
これは、由々しき事態だ。
と思ったが。
「おかわりすればいいんだ」
ご飯は食べ放題。
残る海苔は2枚だから、それに見合った量をよそいでくる。
「これで、まだ戦えるな」
と、ちょうどいい頃合いなので、席のおろしにんにくをスープに加える。
「うんうん、ガツンとくるニンニク臭がいいねぇ」
スープが更に旨くなった。
海苔ご飯麺豚のローテーションが加速する。
そして最後に残っていた味玉を一口で味わい。
最後の米で追い駆けてフィニッシュ……ではない。
「スープが、まだあるな」
茶色いスープが湛えられた丼を見つめ。
れんげを構えて喰らい付く。
ずずずと、残ったスープを飲み干す。
そして、
「まくりです」
店員に声をかけてまくり券をいただき。
最後に水を一杯飲んで一息入れ。
「ごちそうさん」
店を後にする。
「少し、歩くか」
せっかくなので、腹ごなしにオタロードを散策して帰ろう。
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