第12話「4者会談開催!③」
ここは魔法を加味した俺の夢の中……
悠久の平和を願い、創った日本式もどきの城……
今は亡きエリーゼ奥様と再会を望むレイモン様が名付けた……
その名もレヴリー城。
未曽有の危機、悪魔侵攻の脅威を撥ね返すべく、様々な種族の長たる者が参集し、決意を新たにする城でもある。
さてさて!
俺を含めた4名が控室に入り、30分後……
魔導昇降機で改めて3階の大会議場に上がり、全員が集合した。
参加者のVIP3人のアテンドをしてくれた、
クラリス、アマンダ、タバサの女子スタッフ3名も会議場の端に控えていた。
彼女達は、会議の進行中に記録役と雑務を担ってくれる事となっている。
開始時間となった。
いよいよ4者会談が始まる。
司会進行の神たる俺が、しっかり舵取りしないと、まとまらない。
ズシンと重い!
とても気持ちが重い!!
身体も強張って来る。
上手く行くのか?
もしも失敗したら……
凄いプレッシャーだが……
俺は逆境を力に変え生きて来た。
だから!
逆に奮い立つ。
『よっし!!!』
オベロン様達3人の熱い視線、クラリス達3人の期待の視線を感じ、
俺は気合を入れ直した。
息を思い切り吸い込み、大きく吐いた。
『皆様! 本日はお忙しいところ、お集り頂きありがとうございます。不肖、私ケンが本日の会議、司会進行役を務めさせて頂きます。何卒宜しくお願い致します』
俺が口火を切って、まず挨拶すると3人から拍手が。
表情を見ると、緊張はしているようだが、割と落ち着いている。
まあ、3人とも俺よりは会議慣れしているから、納得。
少しだけ緊張しているようだが……最初だけだろう。
妖精、アールヴ、そして人間……
3者の価値観、考えは全く違うかもしれない。
しかし……
と俺は何とか楽観的に考えるようにする。
3者の望みは一緒。
世界の平和、種族の幸せと発展という共通テーマなのだからと。
3人は初対面。
という事で、最初は挨拶から、
『では、まず自己紹介を兼ねた挨拶を……オベロン様からお願いします』
と、俺がオベロン様へお願いした。
すると、にっこり笑ったオベロン様が、
『うむ、ケン、先に礼を言っておく。このような機会を設けてくれ、本当にありがとう』
オベロン様は笑顔で、俺へ一礼すると、言葉を続ける。
『皆様、お初にお目にかかる。私が妖精一族を率いるオベロンだ。下手に気を遣わずざっくばらんに話して貰って構わない、宜しく頼む』
うん!
オベロン様、さすが年の功。
フレンドリーにと言って貰い、ありがたい。
オベロン様の次は、イルマリ様だ。
ちなみに、今回はファーストネームだけ名乗るという事にしてある。
オベロン様なんか、フルの正式名だと凄く長い名前になるらしいから。
『皆様にお会い出来て光栄です。アールヴ族を率いるイルマリと申します。まだまだ未熟で、ご迷惑をかけるかもしれませんが、宜しくお願いします』
おお、イルマリ様は、いつになく謙虚だ。
おこがましい言い方だが、彼の心に成長を感じる。
やっぱりオベロン様を先にして良かった。
アールヴ族は、北の妖精族の末裔だという……
妖精王オベロン様は主筋にあたる。
だから、自然と謙虚にならざるをえない。
最後に挨拶するのは、レイモン様である。
ちなみに挨拶の順番に関しては根回ししてある。
このような挨拶の順番って、結構もめやすい。
だから、各自に話して事前に了解を取ってあった。
今回は……
一応、年齢順という事にしてある。
となれば、当然ながら悠久の時を生きるオベロン様がトップ、
数千年の寿命を生き、生まれて数百年のイルマリ様が次という順番は致し方ないとなる。
レイモン様はまだ30代半ばだから、3人の中ではダントツに年下、
すぐ納得してくれた。
まあ、年齢順なんて表向きの理由を立て、俺が気を遣っていたのも、
聡明なレイモン様はすぐに見抜いたみたいだけど……
レイモン様が挨拶する。
相変わらず爽やかで、活舌もしっかりしている。
『皆様、レイモンです。ヴァレンタイン王国の宰相を務めております。若輩者の人間族が、この席に連なるのをお許しください。私こそ未熟ですので、何卒ご指導ご鞭撻のほど、宜しくお願い致します』
うん、さすがレイモン様。
とても素敵な挨拶だ。
これでいよいよ本題に入れる。
とは言っても、いきなり悪魔云々とはならない。
それは一番最後という話も全員へ伝えてある。
今回の会議の趣旨は、種族を超えた懇親、旧い価値観を捨てた相互理解、
利害を考えない協力、発展を目指す事……
以上は、悪魔対策と同じくらいに大事な案件だから。
でも……
言うは易く行うは難し。
ただでさえ高難度だから、話を複雑にしてはいけない。
シンプルに明快にが基本なのだ。
少しでも円滑に進める為に、俺の役割は重要なのである。
『では、早速、皆様から提出して頂いた議題を、順次進めて行きたいと思います。ここまでは宜しいですね?』
『意義なし』
『問題などない』
『進めてくれ、ケンよ』
3人からOKを貰ったので、俺は会議を進める事にしたのである。
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