第3話

・暗闇に堕ちていくこと

・謎の声が聞こえてくること

・光の世界が見えて、そこに行くと目が覚めること


 そして、目が覚めているハズなのに夢の中で聞こえたような声が聞こえること。


 そこまで話すと、隆介りゅうすけ何故か得意げになって……


「もしかして、知ってたのか?俺、最近夢占いにハマってるんだよね。」

「え……いや、知らな…」

「うれしいなぁ、そんなに俺の事が好きなのか?」

「は?なんで?」

「無意識のうちに俺の情報を捜し求めてしまうほどに……!」


あーなんか面倒臭いな、コイツ……


「で?俺の夢について、なんかわかるのか?」

「もちろん!わっかんねぇ★」


 そう行って調べ始めるコイツは本当にこのクラスの学級委員長なのだろうか……?


 隆介によると……というよりも夢占いサイトの検索結果によると……前世かそれに準ずるものが関係していて、俺に助けを云々うんぬん。分かったことと言えば、怪しげだということくらいなので、今度夢を見た時に声の主にコンタクトをとれるといいんだが……


 いつもヤル気のない数学以外の教科でもボーっとしていて怒られたし、体育の授業では得意なはずのバスケのシュートが決まらなかった。つまり、散々な一日だったわけだけど、どんなに怒られてもからかわれてもやっぱり夢のことが気になって……これってもしかして……恋……?だったら、もっと楽なのにw


 なんとなく気分がふわふわしたまま終礼が終わり、下駄箱で花と蝶のイラストが透けたメモ用紙を目にした直後、美久留の声が俺の手を止めた。「今日、どうしたのぉ?元気ないじゃない」いつものように眉根を下げて笑う彼女はメモ用紙に気が付いている様子はない。「いや……別に」と気のない返事を返す。


「ねぇ、やっぱり変だよぉ?」

「マジで何でもねぇから」

「ホントに?心配してるんだからぁ」

「余計なお世話ですぅ~」

「あぁっ。もうっイジワルなんだからぁ」


 コイツはいつもハイテンションでいいよな、羨ましい。「ねぇねぇ、道こっちでしょ?バス停まで一緒に行こーよぉ。」あのメモが何だったのか、気になったけど美久留に捕まったらしょうがない。邪険に扱うと変な噂流されかねないし……。

 「悩みを聞く」そう言いつつ、彼女は部活の後輩が面白いという話や飼っているチワワが可愛いという話をし続ける。悩みを聞くなんで、オールウェイズ・ハイテンションの美久留にはできるわけないよな……まぁ、薄々分かってたけど。

 バス停に着いても美久留の話は続き……もちろん俺の悩みを聞くようなそぶりもなく……しばらくすると遠くにバスの陰が見えてきた。美久留の話は面白い、面白いけど……今日の俺は、あんまり笑えないんだよね、美久留には悪いけど。


「あ、ごめんバス来たみたいだから。」

「え……あっ…あぁ……!ごめんね、私ばっかり話してて……」

「ううん。元気出たし?」

「そ……そっかぁ~よかったぁ」

「おう。じゃあな」

「あっちょっ……」

「ん?」

「あ~ううん。なんでもなぁい。ばいばぁい。」


 美久留が言いかけてやめるなんて、珍しい。でも……今は夢の方が気になる。そして、「夢が気になる」「何も手につかない」そう言ってきたけど、下駄箱で見つけたメモ用紙の方が、本当はもっと気になっていたりする。

 折りたたまれていたメモ用紙を広げると目に入ったのは不格好に並んだ丸文字。自慢じゃないけど……ほんっとうに自慢するつもりじゃないけど、俺は「上」の方の人種だから、こうゆうのは珍しくない。大抵は「中」くらいの女子がこうゆう手法を使うんだけど……。


 やっぱりそうだ。

 このメモ用紙、この間理乃亜から借りた本についてたものと、同じ柄で……こんな文字書くんだって思ったのと同じ文字で……


日向ひなた先輩へ

 私がこんなこと言うの、おかしいって分かってます。

 困らせるって、今までみたいに話せなくなるかもしれないって。

 

 だけど、私は先輩ともっと一緒にいたいです。

 後輩としてじゃなく、先輩のもっと近くにいたいです。

 理乃亜りのあより」


 いわゆる「告白」っていうのにキョドるほど、俺は「下」じゃない。でも……理乃亜からだって分かったから、気になってたんだ。

 ただの後輩で、ちょっと趣味が合うだけで、たまたま図書室でぶつかっただけで……たまたま、偶然、仲良くなっただけで……。


俺は、どうなんだろう。理乃亜のこと、どう思ってるんだろう……?


 答えがあるはずの自分の中をいくら探しても、答えなんて見つからなくって。夢のことで一杯だったはずの頭が一気に理乃亜で一杯になっていくのを感じる。

 メモ用紙の隅に、小さく書かれた「p,s」には「返事は本を返す時にお願いします。また、バス停で会えた時に。」と書かれていた。


借りた本……読まないとな……


 そう思って鞄の底から本を取り出す。活字を目で追っているのに、全然中身がはいってこない。ページの上に、理乃亜の影がちらつく。


ああ~全っ然ダメだ

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