第6.5話 勇者あああああの復活劇

宿屋の扉を開けると、そこには魔王四天王ヒミコがいた。


俺は、気が遠くなるのを感じた。


俺は、ここで死ぬんだ。

全く、クソみたいな人生だった。


振り返って見ると ・・・。

あれ?思い出せない


もやがかかったみたいに記憶がぼんやりしている。


俺の人生色々あったはずなのに。


俺は、がっくりと膝をつく。


隣にいた女の子があわてて俺のからだを支えようとする。


あれ?この子の名前なんだっけ?


「ここは誰?俺はどこ?」


「しっかりしてください、あああああさん!」


あれ?天使かな?


ていうか、あああああって何?


え?俺の名前?


うわあしにたい。


「しっかりしやがれ!」


うわあ化け物だ!なんかぬるぬるのムキムキのキモい存在が俺に話しかけてきてる……


うわあしにたい。


「私に任せて下さい。今、復活の呪文を唱えます!」


天使のような女の子が、小さくかわいらしい口を開き、詠唱を始める。


https://kakuyomu.jp/works/1177354054881405730


謎の文字の羅列を聞いた瞬間、


俺の中で記憶がよみがえってきた。


そうだ!俺はあああああ。


世界が羨む美男子で、勇者オルペガの御曹司。


天に代わって不義を討たんと、身一つで旅立った義の漢!


道中では、盗賊団を薙ぎ払う八面六臂の大活躍!


しかし、卑劣なヒミコとかいう魔王四天王(笑)のだまし討ちにあい、

転進を余儀無くされてしまった!


なんという卑怯!


下賤の輩め!!


だが俺たちは諦めず、捲土重来を誓い合った!


臥薪嘗胆、堅き心の一徹で、血の滲む凄絶な修業を重ねた。


しかし、俺たちの天賦の才を恐れたヒミコはまたしても、

待ち伏せという不意打ちを俺たちに喰らわせた!


一度ならず二度までも!


悪辣非道の行いに、俺の正義の血潮が滾り、怒りで記憶ごと我を失ってしまった。


しかし美少女の愛の力で俺は見事に復活したんだ!!



……いやあ、こうして改めて振り返ると俺ってやっぱりすげえよな。


卑怯の権化であるヒミコには間違いなく手を焼きそうだけど、


それに加えてブータンとかいうヒミコの家来らしいトロールが今後の鍵を握ってる気がするぜ!


地味で忘れられてそうな存在だけど!


でも復活の呪文のおかげで思い出せたぜ!

思い出せたよな?

な?


「登場人物も多くなったし、整理のための振り返り回を入れたのか!!やるじゃねえか!!

でもまるで、途中で制作が苦しくなったアニメみたいだな!!」


親指を立てながら

小説でも使い回しは楽だから、偉大だぜ!

などとガリアンがまた、意味不明なことを言っている。

ほっとこう。


そんなことより、ヒミコだ!


宿に入ったら魔王四天王ヒミコがいたんだ!

今の騒ぎで気付かれたか!?


いや、そんなことなかったぜ!

やったぜ!

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