第1429話 災いの元祖

そうして機器の電源を入れると星峰は操作を初め、通例通りに目の前のモニターにデータの画面を表示させる。


「これがこの機器に記録されているデータなのね。

見た所これまでのデータルームと大差はなさそうだけど」

「ええ、はっきりと言ってしまえば此処に記録されている兵器のデータはこれまで私達が入手してきた物と大差は無いわ。

だけど違うのは兵器のデータだけじゃなく、この生産ラインそのもののデータも記録されていると言う事」

「生産ラインそのもののデータが記録されている?一体どういう事?」

「つまり、この生産ラインを構成している部品のデータも記録されている。

もっと簡潔に纏めるとこの生産ラインを作り出す為のデータが存在しているのよ」


画面に表示されたデータを確認し、一同はそれぞれの感想を口々に述べる。

すると天之御が


「つまり、このデータに書かれている部品を持ち寄って組み立てれば事実上はこの生産ラインを量産化する事も可能という訳だね」


と星峰の返答の意図を理解しそれを聞いた星峰も


「ええ、恐らくこの生産ラインが全ての施設の生産ラインのルーツであると考えてまず間違いないでしょうね。

一番最初にこの生産ラインが作られ、その後で各施設の生産ラインがこの施設のデッドコピーとして量産された」

「それが一番考えうる事態という訳だね、それは分かったけど其の上で此処をどう突破する?」

「全ての生産ラインのルーツである以上、これまでよりも堅牢な作りになっているおはまず間違いないわね。

それにデータ内に記録されている兵器のプログラムによれば此処の兵器は施設が破損した場合、施設内においても攻撃する様にプログラムされている。

となると、小細工抜きの真っ向勝負しか無いわね」


と返答し、その後の天之御とのやり取りからこの施設の攻略方法は唯一つ、正面突破からの敵殲滅しか無いという事を其の場に居た全員が認識する。


「だとするとデータの入手が終わり次第、此方から仕掛けるしかありませんね」

「星峰、データの収集には後どの位かかるの?」

「後五分程で完了するわ、だからそれまでは周囲の監視に専念して!!」


シレットと空狐がデータの入手までにかかる時間を星峰に問いかけると星峰は総宣言し、二人に、否周囲の面々にもう少しだけ外からの兵器に気を配るように告げる。

そして五分後、宣言通り星峰は今の今まで調査していた機器の電源を落とし、そのまますっと立ち上がって一同の方へと振り向く。

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