第1419話 見参する魔王陣営

「この声は……」

「ああ、漸くのご登場って訳か」


その声を聞いたシレットとコンスタリオがこう呟いた所を見ると二人はこの声の主が誰なのか、少なくとも察しは付いたようだ。

其の察しに応えた……と言う訳では無いだろうが其の直後にコンスタリオ小隊の直ぐ側を衝撃波が通り過ぎ、目の前に居る兵器を其の大きさを問わず薙ぎ倒していく。


「これ程の威力を放てるって言うのも私達の考えの正しさを証明してくれているわ」


コンスタリオ小隊がそう呟いてふと後ろを見るとそこには天之御や星峰を始めとする魔王陣営が勢揃いしていた。


「遅くなって申し訳ない、道中で執拗に兵器に絡まれてしまってね」

「それは此方も同様よ、此処に来るまでに何度も兵器と交戦したわ。

だけどその御蔭で今目の前に居る兵器の危険性を改めて把握する事が出来た」

「あの中型兵器の魔術砲の事を言っているんですか?」


天之御がコンスタリオ小隊に謝意を述べるとコンスタリオは別に気にしていないという返答を行い、其の直後に中型兵器の危険性について問いかける。

コンスタリオの問いかけは魔王陣営が件の兵器と交戦していない場合に其の危険性を解説する為の物であったが、其の直後に星峰が返答した事でそれが杞憂であった事を知りふと胸を撫で下ろす。

だが一方で星峰が告げた魔術砲という言葉に引っかかりを覚える。


「魔術砲?あの光は魔力を放っているの?」


こうコンスタリオが問いかけると星峰は


「ええ、先日の施設の赤制御と青制御同様、個体毎に異なる動力源を使用している可能性はありますが、少なくとも此方側で交戦した兵器全ては魔力を放ってきました」


こう明確に返答する。


「しかし、あの兵器は……って、この話は後だ!!既に噂をすればなんとやらみたいだからな」


モイスがそう言うのと同時に一同は迎撃に来た兵器の方へと視線を向けなおす。

すると既にそこに控えていた大型兵器、中型兵器が魔術砲の発射体制を整えており、一同目掛けて一斉に放ってくる。


「つっ、先制攻撃を許したか……」

「狐妖術、紫雲の魔鏡!!」


コンスタリオがしまったと言わんばかりの表情を浮かべるが、星峰はそれに対し冷静に妖術を展開する。


「紫雲?この前は白銀じゃなかった?」


シレットが些末な事を質問するが、星峰がそれに答えるよりも早く魔術砲が到達しそうになり、更にそれより早く一同の周囲を紫の壁が覆う。

其の壁に当たった光はそのまま兵器に向かって反射していき,周囲の小型兵器もろともに中型、大型兵器を一掃する。

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