第1410話 利用する作戦、される作戦

「まあ、仕掛けるって言うよりは先に仕掛けられたって形だけどね。

丁度此処ブエルスを僕達が陥落させた時の様に」


天之御は少し皮肉った表情を浮かべてこう発言するが、それを聞いたコンスタリオは


「えっ!?ブエルスの陥落がブントの目論見だったというの!?」


と困惑した表情と声を浮かべる。

その困惑は先程の天之御の映像を見た時とは違い、明らかに内心、それも深層の部分から表層に浮かんできたものであった。


「ああ、既に当時の法皇がブントに協力していたとはいえ、内部にはまだ反乱因子が存在しており、決してその影響力が無い訳ではないからね。

その情報が僕達に伝わってきた時、既に作戦の決行は止め様が無い状況に追い込まれていた、だから僕達は肝心要の部分だけを挫くので精一杯だったんだ。

君達には言い訳の様にしか取れないかも知れないけどね……」

「少し前の私達であればそう解釈していたでしょうね、だけど今はそうじゃない。

貴方達の行動により、結果としてブエルスはブントから守られたのだから」

「それじゃ、あの後の法皇の処刑を私達にも知らしめたのは……」

「ブントの作戦の肝心な部分が失敗した事を敢えて分からせてブエルスへの干渉を避けさせる為なんだろ?

だから法皇以外の住民は処刑しなかった。

そうじゃねえんなら少なくとも見せしめという意味で処刑する理由はあった筈だからな」


天之御がコンスタリオ小隊に対し真摯な面で謝罪を行うのをコンスタリオ小隊は真実の言葉、表情として受け止める。

そうする事が出来たのはやはり直接顔を合わせていたと言うのが大きいのだろう。


「しかし、その協力者というのは一体?法皇の立場を知る事が出来る生命等そうそう居るとは思えないのですが」

「ああ、例えスターでもそこまでの情報を入手する事は出来ねえ筈だ。

もしそうなら当然俺達にも伝えてくれるだろうからな」

「スターの正確であれば間違いないでしょうね、でもそれが無かったという事はつまり……」

「いいえ、それに該当するであろう生命が只一人だけ、少なくとも私には浮かんでいるわ。

恐らくその情報を流したのはルイナ皇子何でしょう?」


直後にコンスタリオ小隊が始めた協力者の正体推理に対しコンスタリオがこう回答を述べるとシレット、モイスは困惑するが天之御は


「ああ、その通りだよ。

皇子の協力でブエルスの陥落を目論んでいるのは知る事が出来た、だから何とかその作戦の指揮を握る事で辛うじて野放しにする事は防げた」


とその回答が正解である事を告げる。

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