第1409話 知れ渡る名前
「しかもこの襲撃は此処キャベルだけじゃなく他のタウンでも同時に行われていた。
同じタイミングで同じ兵器が対立する双方の勢力のタウン内に出現する、そんな事が偶然で有り得る訳が無い。
何者かが恣意的に仕組まない限りはね」
コンスタリオに続きシレットが口にした言葉も又今の兵士にとっては衝撃的な物であった。
だが目の前に映し出されている物が其の現実をまざまざと物語っている。
「この映像が偽装されたものでなければ、この襲撃は……いや、きっとだと思い……」
こう呟く兵士は現状の混乱を何とか自分の中で納得させたい様子だ、だが目の前で繰り広げられている状況が既に理解が追いついていない為、認知閾に達してしまっている様にも見える。
何にでもこじつけられそうな言い訳を只ブツブツと繰り返している辺りにそれが読み取れる。
もしまだ兵器が存在していたら瞬殺されてしまいそうな状況だ。
「映像はまだ続いているけど、この状況、私達にはやる事があるわね」
コンスタリオはシレットとモイスにそう告げると二人は首を縦に振って了承し本部内へと向かっていく。
それを見た兵士が
「コンスタリオ小隊の皆さん、何処に向かわれるのですか?」
と問いかけるとモイスが
「決まっている、司令官の所だ。
魔王が大きく動いた以上、俺達も今後の方針を固めていく必要があるからな」
と返答する。
其の返答に対し兵士は面食らった様な状態となり、言葉を続ける事が出来ない。
認知閾の混乱故なのか、それともこの状況においても冷静なコンスタリオ小隊に対応出来て居ないのか……何方なのだろうか?
「さて、魔王が大きく動いたというのは事実ですから今頃司令官も……」
シレットがそう呟くと同時にコンスタリオ小隊は司令室の扉に手をかけ、其の中に入っていく。
するとシレットの呟きと予想の通り、そこには既に司令官とモニター越しに繋がっている天之御の姿があった。
「先程は驚かせてしまった様で申し訳ないね」
「構わないわ、ブントが全てのタウンに対して奇襲を仕掛けてきた、そんな状況で一々タウン毎に事情説明等している時間は無いもの」
謝意を述べる天之御に対しコンスタリオは構わないと事情を察知し、納得した表情を浮かべる。
どうやらコンスタリオにとってはそこまで予想外の行動でもなかった様だ。
「で、今回の一件でブントについての認識が全世界に把握された訳だけど、つまりはブントに対して最終決戦を仕掛けるって事なんでしょう?」
それに続いてコンスタリオがこう告げると天之御は首を縦に振る。
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