第1376話 それぞれの学びの上に
「モイス!?今は……」
コンスタリオがそう言いかけるよりも早くモイスは銃を構え、それを天井に向けて乱射する。
どうやら先程と同様、天井を崩して兵器の追撃を妨害するつもりの様だ。
それに気付いたのかコンスタリオもそこから先の言葉を続けるのを止め、モイスの狙い通りに行動させる。
「これで足は止められる筈だ!!これなら……」
モイスがそう叫んだのと時を同じくして天井が崩れ出し、そのまま追撃してくる兵器の真上から瓦礫の雨となって降り注ぐ。
先程と同じ様に天井が崩れた事で兵器は其の瓦礫の山と見分けがつかなくなり、奥に存在している兵器も其の瓦礫の山にぶつかって足を止めざるを得なくなる。
「これで又兵器の追撃を振り切れたわね」
「いや、こいつらが学習能力を持っているとしたら安心は出来ねえ、一旦は足止め出来たかもしれねえが次は突破してくる可能性は十分に考えられるぜ」
兵器の追撃を躱した事でシレットは少し安堵した言葉を口にするが、実行した本人であるモイスはその安堵を諭す様な言葉を発する。
「そう口にするという事はつまり、そう思わせるだけの何かがあるの?それとも単なる警告?」
コンスタリオが少し意地悪とも取れる質問をするとモイスは
「後者って言いてえんだけどな、残念ながら前者だ。
さっきの瓦礫の際に瓦礫の回避行動を取ってると思われる兵器が数体確認出来た。
最も、そいつらも結局は範囲を読みきれずに巻き込まれたようだが……」
と先程の行動の際に回避行動を取った兵器が存在していた事を告げる。
「成程、さっきの天井崩落の際のデータを受信し学習していた兵器がそれに対する対抗手段を取ったと言う訳ね、考えられない話じゃないわ」
「ええ、先史遺産の兵器がデータ共有による学習能力を所持しているのは最早明白、それがこれだけ早く反映される仕組みが出来ていたとしても可笑しくはないわね」
モイスの言葉を聞き、シレットとコンスタリオも合点がいったのか其の回答に疑問を差し挟む様な事はしない。
「だとすると此処で時間をかけている訳には行かないわね、次はこれが通じるかどうかも分からない。
先を急ぎましょう!!」
コンスタリオがそう二人に話しかけると一行の足は更に早くなり、その先にある突き当りの扉に到着する。
「この扉の先に何かがあるのでしょうか?」
シレットはそう言いかけて扉を開けようとするがその時コンスタリオが
「シレット、危ない!!」
とシレットに大声で呼びかける。
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