第1364話 降下する希望
「天井が!?くっ、罠だったというの?」
突入したと同時に天井が崩落してきた為、岬はこの部屋が罠だったのではないかと推察する。
だがその直後に
「いいえ、これは……」
と星峰が崩れてきた天井を見つめながら口にする。
「何?これは罠じゃないの?」
「ええ、少なくともこの扉から入ってきた存在を攻撃、始末するための罠では無いわ、何故ならあれを見て欲しい」
星峰の冷静さは今に始まったことではないとは分かっているものの、この状況で罠ではないと明言出来る事に岬は戸惑いを覚えている様だ。
「ならこの天井破損は一体……」
「それは話すより見て貰う方が早いかも知れないわね」
岬が更に星峰に問いかけるが、その声に対して返ってきた言葉は星峰の物ではなかった。
崩れて来た天井と同じく上の方から別の生命の声が聞こえてくる、だがその声は初めて聞く声ではなかった。
「この声は……もしかして!?」
そう口にしながら空狐が上を見上げると天井と共に落下してくる兵器の残骸、生産プラントの構成部品らしき機械の破片、そしてその瓦礫に乗ってコンスタリオ小隊が降下してくる。
「コンスタリオ小隊の皆さん!!が天井と一緒に降下してきたという事は……」
「ええ、この天井の破壊は私達が行ったものよ、最も、私達からすれば床を破壊したということになるのだけど」
先程から何度も星峰に対し言葉を投げかけていた岬にコンスタリオはこう返答する。
その顔は何処か余裕が感じられる反面、切羽詰まっていた状況であったとも思える物であった。
「これだけ大胆な事を隊長がしたという事はつまり、相当厄介な奴が出現したという事なのですか?」
「ええ、あれを見て!!」
星峰がコンスタリオに問いかけるとコンスタリオはこう叫んで上を指差す。
するとそこには空中飛行型の巨大兵器が複数旋回していた。
「施設の中を大型兵器が旋回している!?しかもあの部屋は明らかにそれを可能とする様に縦に広大な空間が……」
「ええ、この先にあるデータルームを守る用心棒と考えてまず間違いないわ、そしてあんな物が防衛兵器として配備されていると言う事はつまり、その先にあるデータルームも……」
「相当重要なデータが記録されている可能性が高いって訳だね、なら僕達のするべき事は一つだ!!」
「ええ、情けないけどあれは青制御の兵器、私達で破壊するのは困難だから地面を破壊して別の手を考えざるを得なかった、だけど貴方達と合流できたのであれば!!」
涙名や天之御と言葉を交わしたコンスタリオの表情には明らかに希望が浮かんでいた。
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