第1362話 魔手が迫る先
そして上流付近へと戻って来ると既に岬と空狐が既に立っているのが目に入って来る。
「岬と空狐は既に上流に戻って来ていたのか、他の面々もそろそろ戻ってくるかな」
天之御がそう呟くとその言葉が予言の如く的中したのか、他の面々も同時に戻ってくる。
そして全員が合流し、それぞれの先であった出来事を話し始めて最後に天之御が話し終える。
「それで、その地下通路は何処に繋がっていた、いえ、何処にその出口をつなごうとしていたの?」
天之御の話を聞き終えた星峰が早々に最も気になった部分を質問する。
すると天之御は
「やはりそこが気になるよね、まあ、その顔は大体の見当は付いてるって顔だけど」
と星峰を少し誂っている様な、少しはぐらかしている様な返答をする。
「やれやれ、謎々をやっているのではないのだけどね、まあ見当は付いているわ。
魔王の城……でしょう」
天之御の様子に少し呆れながらではあるが、星峰は見当が付いていると言って返答する。
その返答が呆れながらの様子に似つかわしくない衝撃を持った物で有る事は周囲の面々が驚嘆した表情を浮かべた事から察知出来る事実であるが、天之御は完全に納得した表情を浮かべる。
その表情は星峰の回答が正解である事を物語っていた。
「その通りだよ、どうやらあの通路を作っていた連中は直接僕達の城まで通路を繋げて攻め落とそうって魂胆だった様だね。
だとすると今回阻止出来たのは幸運だったと思う、もし此処を知らずに襲撃を許していたら流石に陥落した可能性もあるからね」
その直後に天之御の口から語られた事実も星峰の仮説が正解である事を物語っていた。
「此処の兵器を完全に制御する自信があるとでも言いたかったのかしらね?ここの兵器はブントの連中もまだ完全には制御出来ていない、又は生産体制が整っているとは思えない。
先を見越すにしても早合点が過ぎるわ」
ブントの計画が浅いと言いたいのか、星峰も何処か皮肉った口調でこう呟く。
だがその口調とは裏腹に表情は全く笑っておらず、それが今回の一件の深刻さを物語っている様にも思えてくる。
「ああ、そして途中で何処か地上に繋げているみたいだ。
地上に上がる為と思われる階段も確認出来たからね、その先が何処なのかは分からないけどね」
「分からないとは言ってもある程度見当は付いているんでしょう?」
「勿論、だけど今はそれを話している余裕は無いよ、この生産プラントを破壊しない事にはブントの計画をご破産には出来ないからね」
天之御と星峰の会話はその状況の危険性、そして施設の制圧目的を明確にするのであった。
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