第1355話 仲間の悪夢

「あの大型兵器、岬の故郷を襲撃してきた奴か、或いはその強化型ね……しかも単独ではなく複数が一度に出現してきている。

恐らくはここで生産された機体が差し向けられたか、或いはブントがここで入手した兵器を別の場所で保管していたのか……いえ、今はそれを考えている場合ではないわね」


星峰がそう呟くと同時に兵器は一斉に機関銃やミサイル、レーザーを星峰に向けて放ってくる。

星峰は妖術と体術を駆使してそれらの攻撃を全て躱し、その上でその部屋の上空に浮かび上がる。

そして手を上に翳し


「狐妖術……真紅の爆炎!!」


と言って凄まじく赤く燃える炎の球体を出現させ、それを地面に向けて投げつけて大爆発を起こす。

そしてそれが終わった後、地面に居た兵器は部品の一部を残して消し炭となっていた。


「今の兵器も赤制御の装置が搭載されているわね、だけどあの時交戦した兵器は赤制御の兵器ではなかった、いえ、青制御の兵器でも無かった。

となるとあれはこの兵器を元にしたブントが製造したデッドコピー……考えられる話ね。

もう少し調べておきたいところだけど、今はそれをしている時間は無い、ならばせめて……」


消し炭となった兵器を見つめ、星峰がこう呟く。

そして周囲を見渡し、ある部分に目を向ける。

その目線の先には何かの機器が置かれていた、その危機に近付き、機器の電源を入れる星峰。

するとその機器が接続されているモニターに映像が映し出され、これまで調べてきた遺跡や施設と同様、機器に記録されているであろうデータが表示される。


「やはりこの危機にデータが記録されているのね、だけど今このデータを全部調べている余裕はない、ならば……」


星峰はそう告げると自身が持つ端末をその機器に接続し、同時に妖術を端末越しに伝わせて何かの細工を施す。

瞬く間に終わったその後、機器の電源を落として踵を返し、通ってきた転移魔術の通路を遡って施設の生産プラントへと引き返していく。


「後は生産プラントを、そしてあの施設を制圧すれば……あの場所のデータを調べる時間は十分に確保出来る。

最も、その前に奴等が隠滅を図る可能性も考えられなくは無いけどね……」


何処か機体と不安を半々に抱いている様に見える表情を浮かべながら、星峰は施設の生産プラントへと舞い戻る。

そして戻ってきた直後に後ろを振り返ると


「狐妖術……白金の呪縛!!」


と言って転移魔術の通路を白い鎖で閉ざし、その通行を不可能にする。

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