第1330話 ガラス張りの魔窟

「だけど周囲に入り口らしき場所は見当たらないね、此方からは出入りしていないのかも」

「確かにそうだけど、だからといってお行儀よく入り口を探している余裕はないわ。

ここは強硬手段に出るしか無い。

まあ、出るのは手じゃなくて足だけどね!!」


涙名が入り口が見当たらない事を確認するとそれを聞いた岬は足に妖力を込め、見えている窓に向かって飛び蹴りを仕掛けてその窓を蹴り割る。

窓は赤制御のコーティング等は施されていなかったのか岬が蹴った事で普通にガシャンと砕け散り、その破片も室内に散乱する。

それを見た天之御は


「この状況では手早くする必要があるからとやかくは言えないけど、内部の機器の破損の可能性がある以上あまり進められた方法では無いかもしれないね……」


と岬の行動を口頭注意こそしないものの内心で問題視する。

最も、口頭注意を行わないのは天之御自身も自覚しているようにそれ以上の問題が山積しているという事情が多分にあるのだが。


「室内には大型機器と多数のモニター、どうやらここがデータルームなのは粗間違いないと思います。

それに見て下さい、あっちの部屋を」


先に室内に突入し、周囲を見渡した岬はこう告げると一同にも周囲を見渡す様に促し、その中の一点を指差す。


「あっちの部屋って、それは一目見て分かる物……だね」


岬に促されるままに涙名がその方向に目をやると、そこにはこの部屋よりも更に広さが確保されていながら室内に何も見当たらない、極めて殺風景な部屋であった。

だが一同はその部屋をみてそこが何の部屋であるのか即座に理解する。

今まで調べてきた先史遺産の遺跡の中にもそれと同じ様な部屋が粗毎回設置されていたからだ。


「うん、あれは兵器の機動実験室。

恐らく生産した兵器の性能をあの部屋で試験対象として記録していたんだ。

コレ自体は先史遺産の遺跡の施設にも見られたからこの施設と先史遺産の遺跡の施設の関係性を考えれば特別驚く様な事もない」

「だけど今回は雰囲気が違うぜ、部屋の大きさも明らかに異質だ。

それだけ大型の兵器を試験したのか、或いは一度に多数の兵器を試験したか、もしくはその両方か……何れにしても良い予感はしねえな」


空狐と八咫がその部屋を見た感想を口々に述べた後、天之御は


「その真相を確かめる為にも早くデータの解析を始めた方が良さそうだ」


と言葉を続け、そこに更に


「なら私の出番ね」


と星峰が宣言すると同時に機器の電源を入れ、大型機器が起動すると同時に連動しているであろうモニターに画像が表示される。

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