第1326話 背中を押す思い 立ち塞がる壁

「何れにしてもここを放置しておく理由はないね、早急に……」


天之御がそう言いかけた直後、再び手元の通信機に通信が入ってくる。


「又外から通信!?何か動きがあったのかも知れないね……」

「どうします?先に通信に応対するべきか、それともプラントの破壊を優先するべきか……」

「迎撃部隊が向かって来る可能性を考慮すると破壊を優先した方が良いのかも知れないけど、コンスタリオ小隊の証言によればプラント内では兵器は攻撃してこなかったという事だから先に通信に応対した方が良いと思う。

朗報であればいいけど、もしそうでなかったらと言う懸念も有るからね」


岬と涙名が通信が入った事についてそれぞれ意見を述べた後、天之御はその意見を採用して通信に応対する事を決め、通信機を手に取る。


「殿下、先程防衛部隊を指揮する司令官より連絡が入り、遺跡内を侵攻してくる兵器の道順に規則性が有る事を確認する事が出来たとの事です」


手にした通信機から聞こえてきたのは先程と同様司令室に居る面々の声であった。

その声からこの状況は魔王陣営にとって決して悪い状況ではない事が理解出来た。

だが一方で楽観出来る状況でもなく、一同の表情が変化したりはしない。


「規則性が有る事を確認したという事はその規則を付けば何処から兵器が出現しているのか特定する事も可能だという事になるわね」

「ええ、司令官も現在其の規則性から兵器の出現地点を割り出そうとしています、ですが防衛部隊の指揮も取り続けなければならない為、中々捗らない様です」

「分かった、そちらはそのまま防衛を最優先事項に設定して防衛部隊を展開して。

僕達は何とか生産プラントまで辿り着けたから今から破壊活動に入る」

「分かりました、そちらもどうかお気を付けて!!」


司令室の面々はそう告げると通信を切り、それを確認した一同は改めてプラントの方へと顔を向ける。


「防衛部隊の皆の為にも、秘密基地の防衛の為にもここを残しておく訳には行かないね」

「うん、もしかしたらここを破壊出来れば防衛部隊の方に向かっている兵器も止められるかも知れない、急ごう!!」


涙名が改めて確認し、天之御が一同を鼓舞して生産プラント内に突入しようとするが、気合を入れた一同に水を指す様に其のタイミングで大きな音が鳴り響き、部屋の奥の壁が開いて大型兵器が出現する。


「大型兵器……そういえばコンスタリオ小隊も言っていたね、プラント内では攻撃は受けなかったけど脱出の際に大型兵器と交戦したって」


大型兵器を目視した涙名がそう告げると同時に一同は交戦体制を取る。

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