第1315話 進むべき道を

「天之御、其の技は……?」

「実態がある存在とない存在、双方を浄化する技だよ。

亡霊と兵器双方に効果があるなら其の効果も二倍になるかも知れないと思ってね。

否、それよりも今は進むのが先決だ!!」


星峰の問いかけに対し天之御は一瞬だけ技の解説をしたが直ぐに戦いの時の表情に戻し星峰達に先に進む事が今は先であるということを告げる。


「そうですね、今の殿下の技で亡霊を吸収した兵器は殲滅されました。

先に進むのであればこの状況を置いて他にありません!!」


空狐が天之御を後押しした事もあり、一同は先に進む事を決めて穴が合いた兵器の集団を突っ切って先に進もうとする。

だが星峰は見逃していなかった、先程の天之御の顔が一瞬だけ笑顔を浮かべていたのを。

それは技が上手く決まった事の喜びなのだろうか?それとも兵器の集団を突破するきっかけを作る事が出来た希望の現れなのだろうか?

天之御の作り出した好機を活かし、兵器の集団を突破していく。

だが兵器の方もそのままおいそれと通してくれる程甘い者ではない、兵器も迎撃体制を整え、直ちに反撃に映ってくる。


「流石にそう簡単に先に進ませてはくれない様ですね……ですがここで立ち止まる訳にも行きません!!」


先陣を切った岬はそう告げると両手両足に妖力を込め、前方に立ち塞がる兵器の集団を次々と其の格闘術で破壊していく。

だが当然ながら赤制御の兵器も紛れ込んでおり、それが現れた瞬間に其の勢いは止められそうになる。


「くっ、やはり赤制御の兵器も紛れ込んでいるのね……」


そのまま兵器が反撃してこようとするが其の瞬間兵器から件の靄が出現し始め、そのまま岬に対して装備している打撃武器を振り下ろしてくる。


「靄をいきなり纏い出した!?まさか吸収している事を隠す機能まで装備されていたというの!?」


突然兵器から靄が出現し始めた事に動揺を隠せない岬はそのまま兵器の攻撃を直撃で受けそうになってしまう。


「岬っ!!くっ……間に合えっ」


涙名はそう叫ぶと岬に攻撃しようとしていた兵器に接近し、其の武器が振り下ろされる前に兵器の中心部分を爪で貫いて破壊する事に成功する。


「あ、ありがとう涙名」

「油断しないで、次が来るよ!!」


感謝の声を告げる岬に対し、涙名は油断しない様に呼びかける。

其の言葉通りなのか兵器は続けて岬に対し攻撃を仕掛け、そのまま一気に畳み掛けようとしてくる。


「つっ、これ以上はやらせないわよ!!」


岬はそう告げると再び格闘術による攻撃態勢を取る。

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