第1309話 虚無の終焉
だが当然兵器の中にやはり八咫の攻撃を物ともせずに進んでくる個体も存在している、恐らくはそれらは赤制御の兵器なのだろう。
ここまでの戦いからそれは容易に想像出来る様になっていた。
「俺の攻撃を凌ぐ兵器か……恐らくはあれは……」
「なら私に任せて!!」
八咫が攻撃を凌いだ兵器を確認すると其の背後から空狐の声が響き、それと同時に
「狐妖術……赤色の破断!!」
という声と共に赤色の衝撃波が八咫の背後から左右を通り過ぎ、八咫の攻撃を凌いだ兵器に直撃して真っ二つに切り裂く。
「やはり私の妖術は通用するのね……其の理由は分からないけど今は活用させてもらうわ!!」
そう告げながら八咫の隣に並び、肩を並べて迎撃体制を整える。
一方兵器も接近し、八咫や空狐に迫ってくる。
そんな兵器に対して八咫は黒羽を構え、空狐は妖術を詠唱して兵器を迎撃していく。
岬と涙名が格闘術で退けていくのに対し彼等は遠距離から迎撃していく。
だが兵器の数は留まる事を知らず、寧ろまだどこかから湧き出てきている様にすら思える。
「つっ、この数……一体何処から出現しているんだ……此奴等」
「寧ろ数が増えてきている様にすら思えるわね……それを確かめる為にもこの先に進む必要があるわ」
八咫と空狐は目の前に広がっている兵器の群れを見てここを突破する必要性を改めて感じる。
それは勿論他の面々も同様であり、兵器の群れに対する迎撃を行なう為の構えを取る。
「空狐と八咫の言う通りだね、ここから先に向かう為の突破口を開かないと!!
魔王妖術……虚無の終焉!!」
天之御はそう叫ぶと兵器の集団の中に紫色の球体を出現させ、其の中に兵器を吸い込んでいく。
それはまるでブラックホールの様に兵器を吸い込んでいき、其の中に消滅させていく。
其の吸引力は凄まじく兵器の数は瞬く間に減っていく、そして球体が消滅した時、既に大半の兵器は共に消滅していた。
「新たな兵器が出現する気配はありませんね……どうやらこのエリアから増援が出現すると言う訳ではないようですね」
「ええ、だけど増援が出現するエリアと繋がっているとしたらそこを抑えない事にはここも何れ先程と同じ事になる、残存している兵器を掃討しつつさっきここに来た時に潜った通路に向かうわよ」
岬が状況を分析すると星峰は先に進む様に告げ、先に進む事の重要性を説明する。
其の言葉を受けて涙名や空狐は僅かに残って居た兵器を掃討し、入口付近に集まっていた兵器の殲滅に成功する。
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