第1281話 赤と青の驚異
「この発行体が魔力を吸収しているという事なんですね……だとしたら赤い発行体を搭載している兵器は私達では……」
「ええ、魔力を用いた攻撃が通用しない以上、破壊するのはほぼ不可能だわ、今の様に周囲の瓦礫の下敷きにするか、あるいは魔力を用いずに武器や武術で破壊するか……」
「だが武器の扱いは明らかに兵器に分がある上、今の一連の流れを見ている限りコンスタリオ隊長の武術すら通用しない装甲だ、小型兵器ならまだしも大型兵器となると武術で破壊するのは極めて困難だと言わざるを得ないんじゃねえか?」
「そうね、不本意だけどモイスの言う通り、私達がこの兵器を武術や武器で破壊するのは殆ど不可能に近いわ」
発行体が魔力を吸収していた、其の事実はコンスタリオ小隊に重くのしかかる。
それは只単に一部の攻撃が通用しないという話ではない、其の兵器の破壊が事実上自分達には殆ど不可能であるという事を意味していたからだ。
「そして、そうだとすればスター達が遭遇した兵器に妖術が通用しなかったという話にも合点がいく」
「スター達が遭遇した兵器の制御装置に組み込まれていたのは恐らく青い発行体、あちらが対妖術用の機器なのだとすれば攻撃が通用しなかったのも今の私達と同様の事態が起こったからであるという説明が付きますね」
コンスタリオとシレットはこう言葉を続けるが、それは同時に魔神族側に危機が迫っているかもしれないという予感を脳裏に過らせる。
「だとしたら不味いんじゃねえか、スター達がこの事実を知らなかったら……」
其の予感を代弁するかの様にモイスが言葉を発するとコンスタリオは
「確かに危険な状態に陥る可能性は否定出来ないわね……だけど私達にはスター達と連絡を取る手段がない、さっきはスターが通信魔術を応用して繋いでくれたけど私達はそれを使う事は出来ない」
と通信を取る手段が無い事を改めて実感させられる。
其の事実に表情が暗くなるモイス、だがシレットがそこに
「信じましょう、スターを、そして魔王達を」
と一声を入れた事で其の暗くなっていた表情が一瞬緩和された様に見える。
「信じるって、シレット、私は……」
コンスタリオがシレットに対し珍しく困惑した声を上げる、自分はスター達を信じていない訳ではないと言いたいのだろう、だがシレットは
「隊長が思っているような意味ではありません、スターなら、そして魔王達ならきっとこの事実を知り、打開してくれる筈であるという事を信じましょうという意味です」
とその真意を語る。
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