第1259話 呪われし生命

其の嫌な予感を確かめる為か、払拭する為か、コンスタリオは右手に魔力を集中させる。

そして


「バースト・ブレイク!!」


と叫んで目の前の生命が収納されている発光体目掛けて拳を叩き付けつつ中の生命を抱擁し、そのまま右手を突き出して兵器に穴を開けつつ外に出る。

そして外に出るとそれを確認したのかシレットとモイスが駆け寄って来る。


「隊長、大丈夫ですか!?」


そうシレットが告げたと同時に其の背後では兵器の崩れ落ちる音が鳴り響いていた。

それをBGMにするかのようにモイスは


「隊長、その生命は……」


とコンスタリオが抱きかかえている生命を見て驚嘆する。

コンスタリオもその生命の方を向くと


「ええ、あの兵器の制御装置として組み込まれていた生命よ、しかも組み込まれていたのは件の発光体の中、此れが意味しているものは……」


コンスタリオが其処まで言いかけるとシレットとモイスも


「それはつまり、あの発光体は生命制御装置の一種……?」


とコンスタリオの脳裏に過ぎった嫌な予感の正体を口にする、だがコンスタリオの脳裏に嫌な予感が過ぎったのは単に生命制御装置の一種であったから等と言う単純な理由では無い。


「ええ、でも小型兵器の発光体は明らかに生命を組み込むには大きさが足りなさ過ぎる。

あの大きさでは例え赤子であっても組み込むのは不可能だわ、だとすると其の中に組み込まれているのは……」


コンスタリオがそこまで話したその時、周囲から爆発音が響き始める。


「爆発音!?兵器はプラントには攻撃を仕掛けては来ない様に命令系統に組み込まれているはず、それを仕掛けてきているという事はつまり……」

「ここが兵器の攻撃対象外エリアでは無いということなのかもしれないわね、あるいは巨大兵器が破壊された場合には其のプログラムが上書きされるようになっていたか、どちらにしてもここに居ては敵に雪崩込まれる、一旦移動を優先するわよ!!}


此れまで攻撃を仕掛けてこなかった兵器がいきなり攻撃を仕掛けてきた事に動揺するシレットに対しコンスタリオはこの場から離れる事を伝え、そのまま近くにあった扉に向かっていく。

だが其の扉を開けようとはせず、目の前にして身構えて応戦体制を取る。


「この扉の向こうにもやはりいるのでしょうか?」

「居たとしてもここに退路はないわ、そうであるなら前に進むだけよ!!}


扉の向こう側にも兵器が待ち構えているのは既に予測出来ている事ではあるが、コンスタリオの言う通り既に退路がないのもまた事実であった。

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