第1254話 魔の庭園の中へ

だがその方向に進んだモイスが


「え、おい……この方向って……」


とふと困惑した声を上げる。


「ええ、その方向に進んでいるわ!!」


モイスの困惑に対しコンスタリオは少し語気を強めて言う。

今更気付いたの?とでも言いたそうな声である。

コンスタリオが進んだ方向、それは兵器生産プラントに向かう方向だったのだ。


「生産プラントに向かってるって事はつまりそういう事ですか!?」

「ええ、そういう事よ」


モイスの新たな問いかけに対してもコンスタリオは強い口調で即答する、どうやら何を考えているかはモイスも理解したようだ。

その表情に納得と若干の呆れが浮かんだ事がそれを物語っている。

道中数回に渡って兵器の襲撃を受けるものの、勢いに乗るコンスタリオ小隊はそんな物で足を止める事は無かった。

次々と粉砕し返り討ちにしていき、瞬く間に兵器生産プラントの、今度は上流、つまり最も最初の部分へと到着する。


「此処に来るまでの兵器の抵抗、データルームに向かう前よりも激しい物でしたね」

「まあ、自分達の揺り籠が脅かされているとなれば内心穏やかではいられないでしょう、兵器に内心があればの話だけどね」


シレットとコンスタリオが少し皮肉った発言をしている其の瞬間にも背後から新たな兵器の一団が迫ってくる。


「ちっ、だからってしつこすぎるぜ!!」


モイスはそう言うと銃を取り出し、兵器の関節部分をピンポイントで狙い撃って破壊しバランスを崩させる。


「ええ、本当に執拗ね。

でもその御蔭で此処が重要な場所であるというのは改めて分かったわ、さあ、行くわよ」


兵器の破壊を確認したコンスタリオがそう号令を掛けるとシレット、モイスも身構え


「分かっていますよ、行きましょう!!」


と言って生産プラントの方に向かっていく。

そして生産プラントに乗り込むとモイスは銃を乱射、シレットは雷の魔術を唱えてプラント上部の兵器素材を組み立てる部分に対し攻撃を加えていく。

だがプラントは其の破損箇所から自己修復を行い、まるで何事も無かったかのように兵器の生産を続けようとする。


「ちっ、擬態兵器の技術を応用した、或いは基礎となった自己修復かよ!!面倒な能力を持ってやがるぜ!!」

「いえ、この程度であれば……そろそろね」


モイスが少し苛立った発言を行うが、コンスタリオはそんなモイスとは対象的に余裕綽々と言った印象の発言を行う。

一瞬困惑したモイスだが其の直後に其の理由に気付く、プラントの破損箇所の再生が突如として止まったのだ。

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