第1247話 紛れ込む悪意

「擬態兵器の製造目的は主に拠点防衛と思われますが、其の点については何か書かれていないのですか?」

「少し待っていて……あったわ、ここに文章が書かれている」


シレットが提示した疑問に対しコンスタリオはデータ内に答えが存在している事を告げ、其の文章を読み上げる。


「奴等が我々の拠点に攻め入ろうとしているのは明白、しかし街中で一々兵器を差し向けていたのでは手間が掛かり過ぎる上に目立ってしまう。

それに明らかに迎撃に出てきたと思われ、返り討ちに合うケースも決して少なくは無い。

それに対処する方法が何か無いかと考えられていたが、この兵器の開発により一気に終結する事となった」


コンスタリオが読み上げた文章にはこう記載されていた。


「やはり目的は拠点防衛……しかもそれは施設だけでなく市街地にも配備出来る兵器として開発されている」

「だとすると此処から先に書かれていそうだな、この兵器を構成している素材の正体が」


シレットとモイスが口々にそう告げたのを聞き、コンスタリオは更にデータを調べていく。


「この擬態兵器は素材として使用している液体金属にプログラムを組み込む事で完成する、しかしこの素材が何なのかは未だ解明されていない部分がある。

どんな形にも姿を変えるだけでなく構成している素材も、そして分子も変化させ、瞬く間にあらゆる物へと姿を変える。

便利である上、ここだけではなく複数の地下鉱脈から動揺の素材が多数確保できているようになっている事を踏まえると嘗てはこの素材は主流な物だったのだろうか?」


こう書かれているデータ文章を読み、コンスタリオは


「どうやらこのデータを記録した奴にはこの素材の正体までは伝えられていない様ね、いえ、もしかするとブント事態、この素材の詳細までは分かっていないのかもしれない」


と文章の内容から推察する。

それを聞いたシレットは


「データを鵜呑みにして自分達では何を意味しているのか分からない物も使用する、ブントの思考停止部分がここでも明るみに出ましたね」


と言葉を続ける。

其の言葉には少々ではあるものの、何処か怒りを感じられた。


「しかし、この兵器は他の施設でも量産されている、素材は他でも入手出来るってことだけど、具体的には何が素材なんだ?」


モイスがそう口にするとコンスタリオは


「液体金属ね……水の様に組み上げているのか、それとも何らかの採取手段があるのかは分からないけど」


と呟き、擬態兵器についてのデータを更に詳しく調べていく。

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