第1220話 故郷の暗部
「もしシレットが育ったタウンがブントが作り上げたタウンだとしたら一体何故シレットがそんなタウンで育つ事になったのか、本当に疑問ね。
育てた親族がブントの構成員だとしても何故其の親族まで手に掛ける必要があるのか、其の点が腑に落ちない」
「そうだな、シレットを自分達側に引き込むつもりだったのであれば初めから其の親族を経由して引き込む方が早いし確実に決まってる。
逆に其の親族がブントの構成員でなかったとしてもそれだけでは理由にならない筈、可能性があるとすれば反ブント側の生命だった可能性だが、それにしたって不自然だ。
態々そんな生命を見られたくない物の近くに住まわせる理由はどこにも無いからな」
コンスタリオ小隊はそれぞれに文章について感想を述べるが、其の内容は何れも何処かに怒りを感じさせるものであった。
「もし其のタウンに反ブント側の生命が居住したのだとしたら其の目的は当然其のエリアの調査ということになる筈、もしそうだとしたら誰がその指示を出したのかという事になる。
もしかしたら魔王陣営が指示したのかも知れないがそもそも北大陸は魔王軍の勢力エリアだ、そしてあの魔王の正確であれば其の地を調査するのであればまず間違いなく自身の部隊から戦力を投入するだろう、其の点を踏まえて考えるとその指示を出したのは魔王軍なのかブント側なのかどっちか分からない。
この襲撃、想像以上に裏がありそうな気がするな」
モイスがブントの行動に対する疑念を全て口にするとシレットは
「ええ、私が育った時タウンの中に奇妙な動きが見られたという話が流れた事は無かった、まあ、私が知らなかっただけかも知れないけど……」
と自身の過去を語りつつもその当時ブントによる行動は存在していなかった事を口にする。
「シレットがそういうのであればその当時ブントが動いていなかったのかも知れない、或いはブントのカムフラージュの為に態と無関係な生命を集めたものの、其の中に魔王陣営のメンバーが入る事が出来たけど、それに気付いてブントがタウン毎一掃した……待って?」
コンスタリオが何かをいいかけて少し言い淀む。
其の様子を見てシレットが
「どうかしたんですか?」
と質問するとコンスタリオは
「もしかしてこのタウンに居住していた生命は人工生命だったのかも知れない!!」
と一つの飛躍した、しかし考えられない話ではない結論に行き着く。
「人工生命!?しかしそれでも……」
コンスタリオはそれを聞いてもまだ腑に落ちない部分がある様子だ。
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