第1203話 隠された廃墟
「こんな瓦礫だらけの所に兵器が出現したのもさる事ながら、何故これ程の瓦礫が殿下の、魔王陣営の御膝元である北大陸に放置されていたのかという点も気になるわ。
これ程の被害が出ている場所であればデータ位は残されている筈でしょうに……」
「其の点について考えられるのは一つ、データを改竄していたとしか考えられないわね。
それもかなり昔から」
「けどよ、もし街レベルの場所が作り出されていたんなら例えデータが改ざんされていたとしても誰か目撃してる奴が居るんじゃねえか?
流石にこの周辺を動き回っている奴全員が全員ブントって訳じゃねえだろ。
元にこうして瓦礫が発見されてんだから俺達側の兵士だって気付いても可笑しくはねえ筈だぜ」
「そうね、其の点は確かに引っかかるわ、兵器の迎撃と並行して調査する必要があるわね」
岬や八咫の述べた疑問に対し星峰が回答していくが、其の星峰でも完全な回答を返す事は出来なかった。
否、来たばかりで完全な回答を用意する事等そもそも困難なのだが、そんな時でも星峰は何時も仮説を立てて説明していた。
今回はそれすらも出来ておらず、それがこの問題の難しさを物語っている様に一同には感じられる。
「とにかく星峰の言う通り、この瓦礫の調査と兵器の迎撃を並行して行うよ」
天之御がそう言って先陣を切ろうとすると空狐は
「兵器の迎撃は分かりますが、瓦礫の調査は後から兵士を率いて行った方が良いのでは?」
と問いかけるが星峰は
「いいえ、此処がもしブントに見られたくない場所なのであれば調査部隊に配下を紛れ込ませてくる可能性もある、それに仮にそれが見られなかったとしても兵士を動かした事で何らかの妨害を仕掛けてくる事は十分に考えられるわ。
そもそもこの兵器の襲撃自体ブントが仕掛けてきている可能性も有るという事を忘れないで」
と空狐に今行う理由を説明しそれを聞いた空狐は
「つまり、証拠隠滅の時間を与えないという訳ね、納得したわ」
と言葉からも表情からも納得した事を承認する。
そして一同は先へと向かい、途中幾度と無く兵器の攻撃を受けるも其の度に退けていく。
だが兵器の増援は一向に収まる気配が無い。
「くっ、この街に現れている兵器は何処から出てきているの……前回のパターンから考えると其の出現口を叩かない事にはジリ貧になるのは目に見えているわ……」
岬がそう呟いた直後、一同が居る方向とは反対の方向からドカンという爆発音が響いてくる。
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