第1187話 不自然な襲撃の裏に

「兵器の襲撃地点から離れているのにこれだけの被害が……いえ、もしかしたらこれは」


何かを直感したのか、シレットは近くの建物に突入しその内部を調べ始める。

するとそこはやはりと言うべきか、ブントが使用していたと思わしき兵器製造、生命製造施設であった。


「此処にも忌々しい施設が存在していたのね、そして恐らくは建物の損傷も……だけど其の為だけに身内を危険に晒す様な襲撃をしたというの?

そこは何か違う気がするわ……」


シレットの脳裏には兵器の襲撃に乗じて、或いはそれを行う為に襲撃を仕組んで居たのではないかという仮説が成り立ったものの、それに対する被害の大きさについての疑問が共に浮かんで居た。


「下手を打てば自分達の拠点であるタウンすら複数失いかねない、にも関わらずこんな馬鹿げた襲撃を仕掛けてきたという事は、ブントそのものではなく其の裏に潜む者の意図が隠されているのかもしれないわね」


シレットの脳裏に浮かんだ仮説はそのままブントの背後に対する疑問へと変ずる、そしてそれを確認するためなのか、そうでないのかは不明だが其の足で施設内のデータルームらしき部屋へと向かう。


「データルームの機器は動かせるみたいね……此処を真っ先に破壊しなかったのは単なる間抜けか、それとも何か裏があるのか」


室内でそう呟いたシレットは機器を作動させデータルームのデータを調べ始め用とするが其の直前に部屋の前に兵器が集まってくる。


「兵器が来た?けど襲撃してきた遺跡の兵器ではないわね、恐らくはこの施設の防衛兵器、一体此処が襲撃された時には何処に居たのかしら?」


シレットが皮肉った発言をすると同時に兵器は攻撃を仕掛けてこようとする、だが其の動きを見切ったシレットは


「サンダー・リング!!」


と言って雷の円を飛ばし兵器に当てて感電させつつ両断する。

兵器の集団は其の一団のみであり、後続が来る気配は無い。


「防衛兵器も一団だけね……余計に疑問が沸いてくるわ」


シレットはそう呟くと更にデータの確認作業を続け、気になる部分が幾つか有る事に気付いていく。


「この施設のデータ……引っかかるわね、持ち帰って照合する必要があるわ」


そう呟くとシレットは端末を取り出し、施設のデータを端末に落とし込む。

だがそれが終わった直後、内部で警報がなり始める。


「施設内の警報……どうやら気付かれた様ね、此処はこれ以上は危険だわ」


そう呟くとシレットは早急に踵を返し、データルーム、更には施設を後にするのであった。

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