第1186話 似て非なる光景
「そうか、ありがとな」
モイスは兵士にそう告げると其の場所を目指して歩き出す。
そしてその現地に付くと兵士が示した通り幾つもの傷が残る建物がちらほら見え隠れする。
「確かに酷いな……だが兵器が襲撃してきただけでこれだけの被害が出る物なのか?」
その光景を見たモイスは被害の大きさを痛感しつつも同時に疑問も抱く。
其の疑問を抱かせる周囲の風景は確かに只兵器が襲撃してきただけとは思えない規模の建物の損傷があった。
否、襲撃だけであれば兵器の数次第では有り得たのかも知れないがそれ以上に建物の損傷が不自然に欠けているような印象を受けるのだ。
「兵器が無差別に襲撃してきたのであれば建物があんな形で破損する物なのか?もし其処になにかあるのだとすれば……」
そう直感したモイスは近くの建物を調べ始める。
すると其処にはブントが隠していたと思われる兵器や人工生命の施設の残骸と思わしき物が幾つも出てきた。
「やはり……だがこれだけで兵器が襲撃してきたとは思えない、否、あの兵器は何方かと言えば無差別に攻撃している印象だった。
にも関わらずこうして兵器や人工生命の施設が破壊されているという事は……」
その光景をみたモイスが一つの仮説に行き着くのは容易に想像出来る事であった。
そのまま足を進めて移動し、次は兵器が出現したエリアの周辺を調べ始める。
だが此方ではそれと言って新しい情報は見つけられない。
「この辺りに収穫は無し……か、この破壊状況では仕方ないが」
そう呟くと其の場から離れ、次の場所に移動しようとする、だが其の直前、兵器が出現した地下への階段からガタンと物音が聞こえる。
「物音!?場所が場所であるだけに嫌な予感がするな……」
モイスはそう呟くものの、現状で兵器が出てきた場合のリスクを想定し其の場から離れる。
其の予感は当たっては居なかったのか、其処から兵器が出てくるような事は無い。
「この辺りは特に被害が酷いわね、兵器の襲撃を多く受けたって事なのかしら、それとも何か他の理由があるのか」
同じ頃、別タウンに居たシレットも又被害が激しい場所を訪れていた、其処もモイスが見た光景と同じく多数の建物に傷跡が残っており、激しい交戦が行われた事が伺える。
だが一方でモイスと同じくただ襲撃を受けただけでここまで酷い事になるのかどうかという疑問も抱かせる。
だが此方では近くに兵器が出現する遺跡への階段は見当たらない。
これは単に違うという言葉だけで片付けて良いものなのだろうか。
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