第1180話 魔王の浄化
「この力……天之御、貴方も使えたの?」
「うん、だけど今の今まで忘れていたよ、この力は本来戦いに使う力ではないのだから」
星峰の問いかけに対する天之御の返答に対して星峰は敢えてそれ以上聴こうとはしなかった、其の顔に何処か儚げ、悲しげな印象を受けたからだ。
「殿下のお力もあって兵器の強化は阻止出来ている!!このままの勢いで押し切るよ」
涙名がそう言い切ると一同は気合を入れて体制を立て直し、星峰に攻撃を集中していた兵器の方へとその視線を一斉に向ける。
そしてそのまま星峰に気を取られているのを確認すると
「戦場で周囲に目をやらないのは命取りだよ!!」
と言いながら兵器に向かって一斉に接近して行く。
そして岬、涙名を始めとする格闘術で兵器の中心部分を次々と破壊し、其処に集まってきた黒色も天之御と星峰の力で浄化され其の色を失う。
そしてそれから一分も経たずして兵器は其の全てが機能を停止させる。
「何とか侵攻は阻止出来ましたね……」
「否、まだだよ、まだ終わった訳じゃない」
兵器を全て破壊した後に岬が少し安心感を含んだ言葉を口にするが其の直後に天之御がまだ警戒を怠らない様にと岬に釘を刺す。
周囲に兵器は見当たらないが其の顔は明らかに警戒心を強めていた。
「まだ何か来るんですか?」
「そういう訳じゃない、否、正確にはもう既に来ているというべきかもしれない」
豊雲の問いかけに対して星峰が回答すると同時に星峰と天之御の力が影響を及ぼしていない所に黒色が集まってくる。
「この黒色がまだ……一体何処から……」
空狐がそれに気付くと星峰は
「彼処からよ、いえ、正確に言えばこの辺りの至る所から出てきていると言っても良いかもしれない」
と話し、其の言葉を聞いた一同は周囲を見渡す。
すると星峰の言う通り、周囲の至る建物から件の黒色は発生していた。
「これが怨霊だとしたらこの建物にはそれを蓄積する仕組みがあるということなのでしょうか?」
「恐らくはね。
建物に混ぜ込んでいるのは擬態兵器の技術の応用、或いは擬態兵器の技術の元となった事だろう」
天之御の発言も又この黒色の驚異を物語っているが、同時にその表情には現状を突破する術があるようにも見える。
「で、どうするの?打開策はあるの?」
「当然、この力を使ってね!!」
星峰からの問いかけに対し天之御はこう返答すると光を更に広範囲に出現させ、全ての建物が入る様に当て始める。
すると其処から黒色が続々と出現し消滅していく。
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