第1178話 怨念が示す矛盾

「大型兵器……作戦中の襲撃では確認出来なかったけど、それが今回の作戦の切り札なのかしら?

まあ、大型兵器が居るということ自体は別に驚くことでも無いけど……」

「けど怨霊を吸収して強化してくるのであれば其の性能は驚異となると考えてまず間違いないわ。

くれぐれも油断はしないようにしてね」


空狐と星峰がそう語った直後、件の大型兵器が一同の前に姿を表す。

其の大型兵器の姿を見た岬は


「あの外見……私の故郷を襲ったブントの巨大兵器に酷似しています」


と告げる。

其の言葉通り、確かに其の外見はかつて岬の故郷を襲った兵器の物と酷似していた。無論、全て同じという訳ではなく、細部は色々と異なっているが。


「だとするとあの兵器を元にして襲撃兵器が作り出されたのでしょうか?けどそうだとしたら何故、ブントは今まであの兵器を出してこなかったのか……其の点が気になりますね」

「確かに引っかかる部分ではあるけど今は其処を気にしている場合ではないわ。

何しろ巨大兵器は目の前に見える一体だけではないのだから」


星峰の言う通り、目の前には巨大兵器の同型機が続々と集まりつつあった。

其の数は明らかに本腰を入れて侵攻するレベルの数であり、この攻撃が単なる散発的な物ではなく、何らかの明確な目的を以て居ることを伺わせる。


「くっ、少なく見積もっても十体以上居るな……これは相当な消耗を覚悟したほうが良さそうだ」

「ええ、でもここで負けるわけにはいかない!!」


八咫と岬はそう叫ぶと兵器に接近し、それぞれ格闘戦を仕掛けて次々と兵器の部品を破壊していく。

だが案の定というべきか、破壊した兵器には黒色が集まりだし、これまでの兵器と同様に強化再生を行おうとする。

すかさず星峰が反応し黒色を断っていき、兵器の破壊自体には成功する。

だがそれを見た残る兵器が一斉に星峰目掛けて機関銃を乱射して来る。


「つっ!!一斉に攻撃してきた……私の力に気付かれた!?」


攻撃に気付いた星峰が辛うじて機関銃を回避し、一旦距離を取ろうとするが兵器の連携に優れた猛攻に回避だけで精一杯になってしまう。


「つっ、優れた連携……一寸待って!?この動きって……」

「うん、思考に生命を利用したあの兵器と同様のパターンだ!!だけどあの兵器に生命反応は確認出来ない、一体どうなっているの?」


星峰と天之御が気付いた兵器の行動パターンについて他の面々も少々困惑した顔を見せる、だが天之御は直ぐに視線を今に戻し


「それを考えるのは後だ!!今は敵の迎撃を!!」


と叫ぶ。

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