第1176話 怨念の依代
「!?どういう事なのです?兵器の中心を射抜いたのに修復していく等」
「自己修復の制御部分は中心とは別にある……と考えれば一応納得は出来るけど、どうもそんな感じではないわね、あの兵器は明らかに中心部分に制御装置が組み込まれているし、それにあの黒色、あれは……」
動揺する豊雲に対し星峰は見たままから考えられる仮説を口にするものの、その仮設には自分自身納得していない部分があるのが透けて見える。
それを察したのか、天之御も
「ああ、あの兵器は明らかに破棄されたにも関わらず再生している、これは何方かと言えばこれまでの自己修復とは違う技術が用いられていると考える方が良いだろうね、そして其の技術に加えられているのは恐らく……」
と言葉を続け、更に空狐が
「このエリアに充満していた筈の怨念を利用した物、そういう事なのでしょう、そう考えればこのエリアの空気が以前とは異なっているのも納得出来ます」
とそれを裏付ける様な発言を行う。
「つまり、今の黒色は怨念の力であり、それを用いて自身を再生する技術があの兵器には組み込まれていると?」
「まだ確証は持てないけど恐らくはね、そしてもしそれが的中しているとしたら」
豊雲の更なる質問に返答する天之御、其処に先程再生した兵器が報復と言わんばかりに豊雲に対し攻撃を仕掛けてくる。
それに対し豊雲が回避行動を取ろうとするが兵器の反応は明らかに先程より早く、危うく攻撃を受けそうになってしまう。
辛うじて掠めただけに留める事は出来たものの、其の攻撃の精度の向上に一同は
「!?今の攻撃、明らかに先程までより、そして他の兵器より強化されている……あれじゃ倒せば倒す程強くなるってこと!?」
と言った岬の言葉に集約される動揺を抱く。
「ちっ、けどここを通す訳には行かねえ!!黒羽根の暴風」
八咫はそう言うと羽を舞わせ、兵器の集団に向けて暴風として回転させつつ放つ。
そして多数の兵器を巻き込み、其の全体をバラバラにして地面に叩きつける。
だがその叩きつけられた部品にも黒色が集約し再び一つに纏まって行こうとする。
「ちっ、あれだけバラバラにしても駄目だってのかよ!!」
其の光景をみた八咫が苛立った発言をするが星峰は
「いえ、今の攻撃は決して無駄ではないわ!!」
と告げ、その手に剣を握って八咫が破壊した兵器の集団に接近していく。
「あ、おい、星峰!!」
その行動を見た八咫は慌てて静止しようとするが天之御が
「ここは星峰に任せよう、それよりも僕達もやれる事をやるんだ」
と告げた事で其の場に留まる。
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