第1163話 逃走と追跡の先に

コンスタリオは受け止めていた鉄球ごと兵器を投げ飛ばし、そのままアンナースが放った銃弾を兵器に受けさせてその中核を破壊する。

その様子を見たアンナースは困惑した表情を浮かべるがコンスタリオは


「アンナース、これが私達と貴方の関係なの、私達は本来肩を並べられる存在なのよ、だからその目で真実を見なさい!!

その上でも戦うというのであれば私達は全力で貴方を迎え撃つわ」


と尚もアンナースに向けて叱責とも激励とも取れる言葉を投げかける。

その言葉を受けてアンナースは益々困惑した表情を浮かべる、先程のコンスタリオの行動がまるでそれを狙っていたかのような動作を見せたからである。


「くっ……私は……あああっ!!」


コンスタリオの声を聞き、アンナースは又も狂った様な声を上げる。

だがその時コンスタリオ小隊は見逃さなかった、アンナースの服の一部が怪しく赤く光ったのを。


「今の輝きは何?あれがアンナースを呪縛しているというの?」


それを見たシレットが内心で疑問を抱くものの、現状でそれを確認している余裕はない。

更に兵器が集まり、その場に居た全員に襲いかかってくる。


「くっ、まだ兵器が来るというの、このままでは……」

「ああっ、ああっ!!これ以上は……」


コンスタリオが尚も数を増やす兵器に焦燥感を覚えると同時に発狂しかけたアンナースがその場から離れ、何処かへと走り去っていく。


「アンナースが!!」

「くそっ、逃がすか!!どの道退路なんてねえんだ!!」


シレットがそれを指摘するとモイスは慌てて走り出し、アンナースの後を追跡する。

それを見たコンスタリオとシレットもモイスの後を追って行く。

モイスの追跡に気付いたのか、アンナースは銃口を向けてモイス目掛けて撃ってくる。

だがモイスはそれを避けると


「銃の自信は俺にも有るんだよ!!」


と言って拳銃を取り出しアンナースの手元の銃目掛けて乱射する。

流石に全てを当てる事は出来なかったがそれでも一部の弾丸を手に直撃させ持っていた狙撃銃を叩き落とす位の事は成し遂げている。

狙撃銃を落とされたアンナースだが、更にそこに現れた兵器の追い打ちを受け、銃を拾う事が不可能となってしまう。


「くっ、これ以上の作戦続行は……」


そう呟いた直後に右に見えた扉の中に飛び込んでいくアンナース。

それをみたシレットが


「あの部屋に何かあるの?追われている状況で部屋に入るのはみすみす袋小路に飛び込む様な物なのに……」


と疑問を呈するとコンスタリオは


「なら私達も向かうわよ!!」


と言ってアンナースが飛び込んだ部屋の中に入っていく。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る