第1151話 私達が知った事

「それについてなんだけど、今回襲撃してきた兵器はブントで生産されたのではなく、事前にあの地下で生産されていた可能性があるんだ」

「え!?どういうことなの!?」


天之御の発言に対しシレットが驚いた声を上げると天之御はその根拠を説明し始める。


「今回交戦した兵器は今まで交戦してきた兵器よりも明らかに強化された先史遺産の技術で作られていた、けど今までのブントのデータにあんな兵器は存在していなかった。

だけどあの数を事前に生産するとなると相当な時間が必要になる筈、そう考えるとかなり前からあの兵器は生産されていたと考えていい」

「確かに……無尽蔵に近い状態まで戦力を供給したのであれば生半可な数では無い筈、そう考えると恐らくは事前に生産されていたと考える方が合点がいくわね」

「そしてその技術に未確定な部分があったという点、これは恐らく今まで表に上がってきていなかった技術が投入されたという事、恐らくは虎の子を投入したんでしょう。

だけどその虎の子が自軍まで襲っていたとなるとブントの上層部も虎の子について詳細を知っていたのではないかもしれない。

それらを踏まえて考えると今回の兵器襲撃から考えられるのは……」

「……どういう事なんだ?星峰の言っている事は嘘ではないと思うが、どうにも理解に苦しむ状態になってきたぞ。

上層部が詳細を把握していないブントの虎の子を投入したというのか?」


天之御、コンスタリオ、星峰の会話に続くモイスの疑問は最もであった、ブントの詳細について知っていたにしてもこの会話の内容は詳細を理解するには飛躍しすぎていた。

それについて聞かされた星峰は


「そうね、詳細の説明をした方が良いでしょうね、天之御、あの事についてコンスタリオ小隊に話してもいいかしら」


と天之御に確認を取る。

それほどの情報なのかとコンスタリオ小隊も天之御の顔を凝視する。

視線を受けた事を天之御が意識したのかしていないのかは分からない、だが天之御は星峰の顔を見ると


「ああ、愈伝える時が来たみたいだね、受け入れられるかどうかは分からないけど」


と真剣そのものな眼差しを向けて言う。


「今の私達でも受け入れられない程の情報だというの?一体どんな……」


天之御と星峰の様子から只事ではないという雰囲気を察したのか、コンスタリオの表情にも深刻な曇が見え隠れする。


「ええ、話すわね、私達が知った事、伝えなければいけない事、それは……」


そう星峰が口火を切るとコンスタリオ小隊は星峰の話に耳を傾ける。

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