第1150話 歪んだ兵器
「正面?という事はやはり、ブントは此方側に向けて攻撃を仕掛けてくるつもりだったという訳ですか」
「ああ、正直そのつもりだったんだろうね。
既に空狐から聞いているけど、東大陸と西大陸の両方に出現したという兵器、それについて少し調べてみたけど、あれは此方の想像以上に危険な兵器の可能性がある」
岬の問いかけに対し返答する天之御が返した言葉は先に進むにつれてその表情が深刻になり、より重みを増していく。
「それほど深刻な事なのですか……」
「ああ、だからこの話は彼等にも伝えておきたい」
空狐が改めて声に出している所を見ると、空狐もまだ聞かされては居ないのだろう。
その表情は険しい事そのものであった。
一方、涙名や星峰は少なくともある程度事態を把握しているのかその表情に乱れは見られない。
特に星峰は明らかに落ち着き払った様子で何処かへと通信を繋いでいた。
「その通信、星峰が繋いでるって事は、やはり彼等に繋ぐつもりなのか?」
「ええ、さっき殿下も言ったでしょう、彼等にも伝えておきたいって」
八咫の発言に突っ込んでいるとも返答しているだけとも取れるような言葉を返した後、星峰はそのまま通信を繋ぐ。
繋いだ先は勿論、キャベルの司令室にいるコンスタリオ小隊に対してであった。
コンスタリオ小隊が応対してくれたのを確認すると天之御はまず今回の一部始終について説明する。
「なる程な、其処までは分かったが、それだけなら浮き彫りになった問題とまでは言わねえ筈だ。
本題は其処じゃなく、その兵器の方って訳だな」
モイスがこう話を要約すると天之御は
「そう、今回遭遇した兵器はこれまで此方の記録に存在していない兵器であった、勿論、ただそれだけであるなら驚異にはならない。
それ以上に問題なのがあの兵器が地下から突如として大量に出てきた事、そして……」
と話し、それに続けてコンスタリオが
「何故かブント部隊に襲いかかったという事……よね」
と続ける。
コンスタリオの結びに対し天之御は首を縦に振って頷き
「そう、その上で気になるのはその兵器と合流しようとしていたという動きだ。
もしあの兵器が危険な物であると分かっていたのであれば相応の備えはする筈、それが無かったという事は……」
と更に言葉を続ける。
すると今度はシレットが
「それをする気がなかったか、或いは出来なかったか……という事になるわね。
そしてもし後者ならそんな兵器を投入してくるまでブントは追い詰められているという事なの?」
と天之御の言葉に続けて結びを作る。
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