第1128話 うねりを上げる戦乱
「つまり、上層部はコンスタリオ小隊を戦力に取り込むのを断念したと?」
「まだそこまでは言い切れません、ですがコンスタリオ小隊に勘付かれた以上、我々にも疑いの目を向けてくるのは時間の問題でしょう。
それも恐らくはそう遠くない内に」
二人の司令官の顔が徐々に深刻な物になり、焦燥感を感じる様子を見せる。
西大陸の司令官は口調こそ冷静に思えるが、その言葉の中には確実に動揺が見え隠れしていた、アンナースの一件が尾を引いているのか、それとも何か別の理由があるのかは定かではないが。
「では我々は一体どうすれば……」
「上層部が何か行動を起こすとすれば必ず司令が届く筈でしょう、まずはそれまで必要以上に動かない事です。
この状況で余計な事をしてコンスタリオ小隊の疑惑を深めようものなら我々の首も飛ぶものと思いましょう」
司令官が今後の身の振り方を考えるような素振りを見せるが、一方で特に西大陸の司令官はブントに対する忠誠心が揺らいでいるようにも聞こえる。
少なくもキャベルの司令官にはそう思えてならなかった。
「では、暫くは様子見という事で……」
「はい、そうですね……と言いたいところでしたが、そうも行かなくなったようです」
司令官の間で結論が出かかった正にその時、それに水を差す様な発言が西大陸司令の口から出る。
その言葉に従う形でキャベル司令が手元にある端末のモニターを見るとそこには通信文章が受信されていた、更に悪い事にその差出人はブントの上層部らしき名前である。
「通信文章……つまり、我々にも仕事があると?」
「というより、これまでの失態分はここで取り返せと言った感じでしょうか?最も、可能であればその前、いえ後でも良いので又彼女と会わせて頂きたいものです」
キャベル司令の声には明らかに動揺があるのに対し、西大陸司令の声は何処か冷静さが戻ってきていた。
そしてその文章を確認すると
「これは……確かにこれはおとなしくしている場合では無さそうですね」
とキャベル司令は満面の笑みを浮かべ、その顔に釣られたのか西大陸司令の顔にも笑みが浮かぶ。
だがその笑みの中に何処か暗い影のような物が見えるのをキャベル司令が気付く事は無かった。
それから一週間後、南大陸キャベルにて突然大規模な警報が鳴り始める。
「一体何が起こったんです!?」
コンスタリオ小隊が警報を聞いて慌てた様子で駆け込んでくるとキャベル司令官が
「総員、コチラを見て欲しい」
そう告げて目の前のモニターの画像を指差す。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます