第1092話 許されざる罪
「ええ……中型兵器を倒すだけなら余力は有り余っているけど……」
アンナースの問いかけに対するコンスタリオの返答は明らかに自信よりも動揺が上回っていた。
唐突な問いかけであるが故なのか、それともアンナースがそうした問いかけをしてくるとは思わなかったのだろうか。
「なら、その余力を注いで下さいね」
アンナースはそう言うと中型兵器が扉を潜ったその直後、扉の上部分に狙撃銃を連射し扉を破壊してその通路を塞ぐ。
「成る程ね……中型兵器が潜るとなると相応に時間がかかる、その鋤を突いて扉を破壊するのが狙いだった訳ね」
シレットが納得した表情を浮かべるとアンナースは黙って首を縦に振って頷く。
シレットの発言が自身の意図である事を証明しているようだ。
「さて、言い切った以上は私達も役目をこなさないとね」
コンスタリオがそう言うとシレット、モイスも交戦体勢を取り、アンナースも銃を構え直して兵器を狙い撃つ。
中型兵器は小型よりも素早い動きでコンスタリオ小隊に接近してくるが、その大きさ故か小型機よりも小回りが効かないようだ。
「小回りが効かないのであれば此方にも幾らでもやりようがある!!」
コンスタリオはそう宣言するとその宣言通り、生命ならではの小回りの良さで兵器を翻弄し、その関節部分に打撃を叩き込んでいく。
しかし兵器も大きさに見合うだけの耐久力があるのか中々破壊する事が出来ない。
更に徐々に反応速度の向上が見られ、その動きにも俊敏性が見られてくる。
「此奴……徐々に動きが良くなってきているわね……恐らくは此方の動きを徐々に学習してきているんだろうけど……」
「ならその前に破壊するまでよ!!」
コンスタリオが兵器の動作の違和感に気付くとシレットは強気な発言をし、その発言を実行すると言わんばかりに両手から強力な雷撃の魔法を放ち、兵器の中心部分に放ってそのボディを貫く。
その魔法で大きな穴が空いた兵器はそのままその場に崩れ落ちるがその中から生命の焼け焦げた跡と思われる一部が見えてくる。
「この兵器も制御装置に生命が使われている……」
「でもこの兵器って今目の前で生産された兵器ですよね……つまり……」
「この施設には生命を制御装置に組み込んだ兵器を作る技術があるって事か……ちっ、腹立たしいな……」
兵器の制御装置に生命が使われているという事実を改めて突きつけられ、コンスタリオ小隊は怒りを隠せない、そしてそれは
「ええ……私もコレは……」
とだけ呟いたアンナースも同様であった。
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