第1083話 新たなる一歩

「アンナース……例のデータを確認してくれたかしら……」


データを送信したコンスタリオは画面を見つめながらそう呟く。


「スターが早くも送ってくれたデータ……いえ、これだけ早く送ってきたということはデータ自体は元々存在していてコレまで確認出来なかった場所に存在していたと考える方が適切ね……」

「となると、やはり魔神族側の……いや、現在魔王側の勢力下にあるタウンの何処かにデータが存在していたんだろうが、それだけなのか?

何か他にもありそうな気がするぜ……」

「恐らくは今まで手を付けていないエリアを調査したんだろうけど、それにしても早いわね。

もしかすると大体の見当はついていたのかもね」


コンスタリオ小隊もそのデータを確認して口々に感想を言い合っていた。

どうやらコンスタリオ小隊も又、今回の魔王側の動きの迅速さには少なからず疑念を抱いているようだ。


「だけど今はスターの送ってきてくれたこのデータを信じる、それが私達に出来る事よ。

勿論そのまま黙っているつもりはないけどね」

「ええ、このデータが正しければ調べるべき場所が出来たわ」


コンスタリオがそう言うとシレットとモイスは立ち上がる。

その様子を見て


「ちょ、一寸……幾ら何でも今直ぐには行動しないわよ。

私達だって疲労しているのだし、この状況で行動するのは……」


とコンスタリオが焦って制止しようとする。

その様子を見てシレットとモイスは


「それ位は承知していますよ、流石にこの状況で迂闊な行動をすればそれこそブントに付け込まれかねませんし、何より疲労しているのは自分が一番承知していますから」


と声を揃えて告げる。

勿論二人は直ぐに行動するつもり等はなかったのだが、それでもコンスタリオの目には二人が行動しようとしているように写った。

それはコンスタリオも又そうした勘違いを起こすほどに困惑、疲労しているということなのだろうか、それともそう思わせる何かがそこにあったのだろうか?


「それに一応ですけど提案もしておかなければ不味いでしょうしね」


シレットが少し冗談めいた口調でそう告げるが、その提案というのは司令官に対しての事なのだろうと予想するのは容易であった。

そして翌日、コンスタリオ小隊はブエルス防衛部隊の司令官の元を訪れていた。


「そうか……そのタウンに魔神族にとって隠し通したい何かがある、そういうことなのだな」

「はい、コレもスターからの情報なので間違いないと思います」


司令官の元を訪れ、何かを提案していたようだ。

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