第1078話 生命への冒涜

「恐らくその生命に対する冒涜には私の血族も肩入れしていたのでしょうね。

奴等が研究、実験していた人造生命等その最たる物でしょうから。

そしてブント側の少女、コンスタリオ小隊がアンナースと呼んでいたあの少女が友人と言っていたあの兵器に取り込まれていた生命達も恐らくは……」


空狐がここまでを告げると他の面々は只黙り込む。

それから先の言葉は最早空狐が口にするまでもなく一同全員察しがついていた、そして、それ故に怒りを覚えている。


「だとすると、あのアンナースという少女も……」

「その可能性は有り得るわね。

只、仮にそうだとしてもあの少女は少なくとも自分の意志を持ち、それに沿って行動していた。

そうなるとブントにとっても何か特別な存在であるのかも知れない。

只、あの少女については現状コンスタリオ小隊に任せるしか無いわ」

「そうね……今日の状況にしてもコンスタリオ小隊が仲裁してくれていなければ彼女は間違いなく私達に対して攻撃を仕掛けてきていた。

恐らくはそれがぶんとの構成員として組み込まれた者の悲哀なのでしょう」


岬や星峰、空狐がこう口々に突いて話し出すと天之御が


「その件も大事ではあるけど、又焦点がずれているよ。

今整理するべきはまず、あの地下にブントの母体、或いは前身と思われる存在の施設が存在していたという事、それに空狐の血族も関わっている可能性があるということ、コンスタリオ小隊も又、あの施設に向かっていたという事。

まずはあの施設について話を纏め、その上で他の件についても話そう」


天之御がそう言うと一同は顔を切り替え、互いに目を向け合う。

そして


「あの施設が例の連携戦術を使う兵器の生産ラインになっているのは最早疑いようのない事実です。

そしてその生産に私の血族が加わっており、且つあの施設が略全ての兵器の生産元になっている可能性も極めて高いと言えるでしょう」

「ええ、あの施設の内部に記録されていたデータはコレまで見たこともない兵器で溢れていた、それは恐らく、あの施設の兵器こそがコレまで私達が戦った、或いは生産してきた兵器の元となったデータであるが故なのでしょう」

「この世界に溢れている兵器は殆があの施設のデータから製造された……俄には信じがたい話だけどそうも言ってられない、現に星峰が入手してくれたデータがそれを物語っているのだから」

「だとすると、ブントもその施設を抑えようとして今回の行動を起こした可能性が高いですね」


ここで話は漸く本題である施設についての件に移る。

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