第1072話 兵器からの開放

「魔力……開放!!」


飛び上がったと同時にコンスタリオはそう叫ぶと魔力開放状態となり、格闘能力を高める。

そして拳に魔力を込めて振り上げ、兵器の中心部分を貫きながら破壊する。


「これが……私達に出来るせめてもの……」


兵器を貫いたコンスタリオだが兵器は尚も反撃しようとしてコンスタリオに標準を向けてくる。


「つっ!!まだ……」

「そうはさせないわ……狐妖術、赤色の煌めき!!」


コンスタリオが一瞬焦った表情を浮かべるとそこに星峰が割って入り狐妖術を放つ。

妖術として放たれた赤い光は兵器を撃ち抜き、その全体を完全に消滅させる。


「今の攻撃……タイミング的に……やはりこの感じは……」


今の一連の流れを見てコンスタリオは何か確信を抱いたような表情を見せる。

そのまま地面に着地し、星峰も着地した直後、その遠目にアンナースが


「皆……ごめんね……ごめんなさい……」


と言ってその場に泣き崩れるのが見えた。


「アンナース……良く決断してくれたわ……」


コンスタリオはそう言いながらアンナースの元に駆け寄り、アンナースに肩を貸す。


「……大丈夫です……立てます」


アンナースはそう言うと立ち上がり、その表情を辛うじて意志を感じられる表情にする。

だがその顔は無理をしているのが見て取れる程に痛々しい物であった。


「アンナース……」


シレットのその声も痛々しく虚しく響く。


「……信じるか信じないかは貴方次第だけど、伝えるだけは伝えておくわね……

貴方の故郷を襲撃したという記録は魔王軍の軍部記録には残されていないの」


そんなアンナースを見て居ても立っても居られなくなったのか、空狐はこう告げる。


「魔王軍の軍部記録には残されていない……という事はつまり……」

「裏側組織の仕業……そう考えて間違いないでしょうね、そしてその裏側組織が今回の兵器に関わっていた可能性も極めて高い。

さっきの兵器の動きから考えてあの兵器の回収、或いは起動がこのタウンを襲撃してきた最大の目的である可能性が極めて高いもの」

「制御装置に生命を使う兵器……確かに外に出て欲しい情報ではないですね……」


空狐の話を聞き、コンスタリオ小隊も口々に仮説を述べ始める。

それを聞いたアンナースは……


「裏側組織……それに魔神族の軍部に記録が……もう私には何がなんだか……」


と答える。

その顔は本当に混乱しており、最早今の発言に答える気力も感じられない。

無論、アンナースが裏側組織について知らぬはずは無いが、その顔は明らかに混乱、憔悴していた。

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