第1039話 入り交じる不安

内心に疑念を抱きつつもアンナースはそのまま通路を先導し、コンスタリオ小隊と共に目的地へと移動していく。


「あら?前回と同じ場所に向かうのではないの?」

「ええ、先日と同じ兵器が出現した痕跡が他の場所からも確認されたという報告が入ったんです。

真偽の程は分かりませんが、其のポイントに向かって調査を行う必要性があるとの事です」

「あの兵器が他の場所にも……確かにそれを放置しておくわけには行かないわね……」


シレットの声に対するアンナースの返答により、コンスタリオ小隊の顔も少し曇ったものとなる。

其の曇り方は不安と懸念が混ざったものであり、コンスタリオ小隊も先日の兵器に対する危険性は把握していることを伺わせる。

そのまま通路を歩いていくとこれまでとは明らかに周囲の雰囲気が異なってくる。

薄暗く明かりが乏しいのは変わらないものの、徐々に壁が機械的になり、これまでの通路から何処かの施設の中のような印象をうける壁へと変化していく。


「この壁の雰囲気……覚えがあるわね……しかもかなり悪い形で」

「ええ、私達の思い違いであれば良いのだけど……」


シレットとコンスタリオが通路の壁を見て不穏な発言をする。

それに続いてモイスも


「ああ……この壁の雰囲気、酷似してやがる、あそこに……先史遺産の遺跡の施設に……」


と、其の壁が先史遺産を思わせる要素を含んでいる事を明言する、其の名言にシレットとコンスタリオだけでなくアンナースも首を縦に振って同意する。

それはアンナースが内心に感じている不安に繋がる部分があった。


「この先に一体何があるというの……もしかすると私達はとんでもない貧乏くじを引かされたのかもしれないわね……」


アンナースの内心にも不安と懸念が過り始める、それは単に貧乏くじを引かされたというレベルの物ではない、この通路の先に存在している物の回収という任務を果たすことが出来るのか否かを考えれば考える程その詳細が見えて来ない事に不安を感じざるを得ないのである。

そのまま通路を進んでいくとそこには其の不安を遥かに上回る物が存在していた。


「おい、これって……」

「ええ、平気どころの問題ではなかったようね……これを放置しておくととんでもない事に……いえ、地上世界に大災厄がもたらされる可能性もあるわね……」

「流石にこんな物が存在しているとは思いませんでした……」


それを見たコンスタリオ小隊もアンナースも動揺を隠しきれない。

そこに存在していたのはこれまで見てきたどの先史遺産の施設よりも巨大な施設であった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る