第1026話 霊諍の判断
そして端末の画面に文章が入力され始め、それが終わるとコンスタリオは
「スター……貴方の答えを待っているわよ」
と一言呟いた後に送信キーを押す。
其の顔は複雑であり、答えを教えて欲しいとももう一度会いたいと言いたいとも取れる。
一方其の頃、ブエルスに置いても霊諍と天之御が今回の一件について通信で会話を交わしていた。
「それじゃ、君は態々現地に?」
「ええ、直接の残骸を更に幾つか回収したかったんです、そうすればもう少し具体的な解析ができるんじゃないかと思いまして」
「それは分からなくもないけど、結構無茶でリスクも高い事をするね……」
「そうですね……実際現地でコンスタリオ小隊と遭遇しましたしね」
霊諍と天之御の会話はこの様に続き、最後の一言で天之御の表情が少し困惑したものになる。
どうやら今回の一件は天之御が命じたものではないようだ。
「コンスタリオ小隊と?それじゃ……」
「いいえ、コンスタリオ小隊も既にブントに対しては疑問を抱いているようです。
現に其の現場では新たに進行してきたと思われる兵器と交戦していましたから。
只、其の場にブント側の人族も存在していたのは懸念材料ですが」
少し間を開けて天之御はこの様に話を続け、霊諍はこう返答する。
「兵器が侵攻!?一体どういう事!?」
「僕が現地に到着した際、コンスタリオ小隊は兵器と交戦していました。
ですが其の場にあった残骸から兵器が再生したという訳ではありません、となると奥から新たな兵器が侵攻してきたとしか考えられません。
ですが、其の兵器はブントの構成員と思わしき少女も攻撃していました、となると考えられるのは……」
「件の兵器はブント以外の存在が送り込んできている……其の可能性が更に高まったって事か……そう考えると現地に入ってくれたのは正解だったのかもしれないね……」
霊諍が告げた事実は天之御にとっても予想外であったようだ。
更にその事実は兵器が今後も侵攻してくる可能性を裏付ける。
「このタイミングで兵器を送り込んできた、しかも其の兵器はブントの構成員も攻撃対象にしているとなると、其の背後に居る存在はブント共々僕達も殲滅するつもりなのかもしれないって事か……」
「そんな事を目論む理由があるのは……やはり……」
「ええ、遂にこの戦乱が大きな海練をあげて動く時が来たという事でしょう、殿下が申し上げていた通りに」
「これが戦乱を終わらせるチャンスとなるか、それとも抜け出せない泥沼となるか……」
霊諍と天之御の表情が徐々に深刻な物となり、この戦乱の行く末がこの兵器によって動き出した事が暗示される。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます