第1025話 司令官への疑問
「もし、司令官がアンナースが単独任務に出向く事を承知の上で私達に単独行動の権利を与えたのだとしたら、其の目的は……」
「アンナースの単独任務に私達を同行させる事としか考えられないわね。
そして、もしそうだとするのであれば司令官は……」
「魔神族の魔王の同志、そう考えてまず間違いねえだろうな……考えたくはねえけどよ……って、少し前の俺達なら言ってただろうな」
話が司令官への疑念に戻った所で三人は口々にこう話し始める。
最後のモイスの発言には若干の冗談が混じっているようにも聞こえるが、其の顔は全く笑っていない。
恐らくはこの軽口が精一杯なのだろう、否、本来であれば軽口を叩く余裕すらも今のコンスタリオ小隊にはない、ここで軽口を叩くのはそうでもしないと潰れてしまいそうな内心の表れでもあった。
「ええ、たしかに少し前までの私達であれば司令官が魔王と繋がっている等と考えた時、真っ先に否定していたでしょうね。
けど今はそうではない、寧ろそうでなければ説明がつかない上にそうであったとしても司令官に対して怒りを抱く事はない……」
「ただ、もし仮にそうだとするのであればブレるスが陥落した事については少々疑問が浮上するわね。
まあ、今更ここでそれを話した所でどうにかなるわけでもないけど」
モイスの軽口に突っ込むどころかそれに対し同意すらしているシレットとコンスタリオの対応がその内心を表していた。
「あの魔神族が魔王側の生命であるならあの兵器はまだ魔王側、いえ、魔神族にとっても未知なる兵器ということになります。
そうだとするとあの兵器を送り込んできたのは一体……」
「そうね……残骸だけであれば現存していた兵器が動き出したと解釈出来なくもないけど、後から現れた兵器は明確に何らかの目的を持って動いていた。
何者かが送り込まなければそんな事態が起こる筈はないわね……」
「其の何者かってのが件の裏組織なのか、それとも全く違う連中なのかは分からねえが、何れにしても放置すると碌でもねえ事になりそうな気がするぜ……」
「そうね、この件についてはスターにも連絡を入れておくわ。
もし私達が兵器の事について知ったという事が伝われば又何か伝えてくれるかもしれない」
最終的に兵器の脅威を改めて確認した所でコンスタリオ小隊は解散し、モイスとシレットはそれぞれの自室へと戻り、コンスタリオは部屋の端末を起動する。
「あの魔神族……明らかに私達の事を知っている様な口振りだった……いえ、それだけであれば不自然ではない、けどあの様子は……」
コンスタリオは内心で魔神族の事を考えつつも手元の端末でデータ入力を開始し始める。
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