第1012話 未知なる物への思惑
「兎に角今は今出来る事をしていくしかない、今日は一旦解散にしよう」
天之御のその一言に一同も頷き、その場は一旦解散となる。
そして自室に戻ると天之御は
「遂に奴が動き出したのなら、この戦乱を終わらせる好機にも永遠に続かせる混沌への入り口にも成り得る……もうエターナル・パラダイスにはあまり時間は残されていないのかもしれない」
と神妙な顔で呟き、目の前の端末の電源を入れるのであった。
一方その頃、某所において
「東大陸の地下から今まで見た事が無い兵器が発見されただと?」
「はい、それも我々が使用している兵器の更に上を行く技術が使われている物です」
と言う会話が交わされていた。
「我々の技術の上だと?馬鹿な、我々の技術はあの方が授けて下さった物だ、奴等にある程度の解析を許したとはいえ、それが唐突に現れる等……」
「否、寧ろそういう事なのだろう、我々にもあまり猶予は残されていないという通告の意味も込めて」
更に二人、異なる生命の声も響いている、どうやら単なる会話ではなく会議の様だ。
「通告……つまり、これ以上の失態は流石に許されないという事ですか……」
「そういう事になるな……そして今回それを動かしたという事は我々にそれを手に入れろという暗示もあるのだろう、恐らく、表向きはイェニーが残していた遺産という形で」
「しかし、既に東大陸を奴等に抑えられている現状では難しいでしょうね……
こうなる事まではあの方も流石に予測出来ていなかったという事なのでしょうか?」
節々から聞こえる言葉の内容からこの場に集っているのがブント側の、それも会議を開く程の重鎮である事は明らかであった。
「ええ、今となっては彼等を使って入手する事も難しいでしょうね……しかし、ここで我々が何も行動を起こさなければあの方も黙ってはいないでしょう」
「そうだな……ここは彼女を使うしかあるまい、コンスタリオ小隊との関係維持の為にもな。
そして万が一、コンスタリオ小隊が我々に牙を剥く様な事があれば……」
その場に集まった面々はこうした会話を交わし、それは時間の流れを忘れさせる程に話し込んでいた。
そして翌日、キャベルの一室でアンナースが目を覚ますとそこには一通の通信文章が部屋の通信端末に届けられていた。
「通信端末に文章……これって!!
彼女達にも……そう、遂にその方向に舵を切ったって訳ね……だとしたら、私は……」
その文章に目を通したアンナースは神妙な顔付きで画面を見つめていた。
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